被災地復興のためにも東日本で「自粛ムード」の一掃が必要だ
飲食業の売り上げは通常の3割減
〔PHOTO〕gettyimages

 東日本大震災の発生から二週間あまりが過ぎ、福島第一原子力発電所の事故の今後による不確実性があるとはいえ、東京地域の生活には、正常化の傾向が見える。

 震災発生当初にスーパーの店頭から消えたトイレットペーパー、乾電池、カップ麺などは、潤沢とはいえないまでも、相当量供給されていて、今や「買えない商品」ではない。東京の上水道の水源に放射性物質が検出された時には、ミネラルウォーターが飛ぶように売れてあっという間に買えなくなったが、筆者の生活圏では徐々に商品を見かけるようになった。

 生産や輸送に多少の時間が掛かるとしても、水をボトルに詰めて運ぶだけでそこそこの値段で売れていくのだから、供給が増えない筈がない。

 また、需要側でも、消費者は、当初の買い置き需要と同じペースでミネラルウォーターを買い続けるわけではない。水は乾電池よりも継続的に消費される商品だし、また風向きと雨によって首都圏の水源がダメージをうけることはあるだろうが、供給はやがて需要を満たす。経済は、生きている。

 眉間に皺を寄せて「買い占めをしないで下さい」と言う人の正義を嗤うことは慎むべきだが、政府が消費者を怒るよりも、消費者自身が「過剰な買い置き行動は損だ」と気付くことの方が効果的だ。

深刻な計画停電の影響

 ただし、「水と安全は(ほぼ)タダ」という日本の安心の代名詞は死語となり(油断の、代名詞でもあったが)、安心な水を飲むには個人に経済力が必要になり、個人の経済力によって安全性に露骨な差が付くことになる。これは、コミュニティーにとって嬉しくないことだ。もともと、経済力による健康や安全性の差は存在しているのだが、今以上に目に見える形になる。

 一方、「計画停電」という名の予測しがたい無遠慮な停電とその背景にある電力の制約は、経済にとって相当に痛い。

 ビジネスの内容にもよるが、たとえば、製造業では、ある時間に「停電があるかも知れない」という可能性があると、製造工程を動かせない。この場合、停電の可能性のある期間中は生産の何割かが失われることになる。小売りや流通にも支障がある。たとえば夏になると、冷凍食品をはじめとする食品の品質管理が大変だ。

 計画停電があるからと帰宅を急いだり、外出する気にならなかったりという人も多い。

 電力に関しては、大口の需要を制限するような時限的な課税も含めて電気料金による調整が必要だろうが、地域ごとに停電になる現在の形とは異なる需要の抑制方法を早急に考えるべきだ。

 震災の発生と原発事故発生後に経済データのまとまった調査はまだなく、来月8日に公表予定の内閣府の景気ウォッチャー調査が注目されるところだが、おそらく首都圏では惨憺たる結果が発表されることになるだろう。飲食業では、通常の三割減くらいの売り上げになっている店が多いとも聞く。

 計画停電は、暖房が必要なくなる4月末くらいにいったん終了しそうだが、冷房で電力需要が増加する夏や、再び暖房が必要になる冬などに、再度実施される可能性が大きい。

 この調子では、飲食店などで、経営が立ちゆかなくなる店が相当出るのではないか。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら