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F1の4気筒化でホンダがF1復帰?

 3月11~13日に開催されるバーレーンGPで幕を開ける今シーズンのF1。'08年のホンダ、'09年のトヨタと2年連続で日本メーカーがF1から撤退。そして日本の最後の砦であったブリヂストンも昨年いっぱいでF1を撤退し、今シーズンからピレリタイヤのワンメイクとなる。

「日本の企業はF1にお金を使うことを恐れている」

 これは、世界的に注目度が高まっているのに日本企業からの支援がほとんどないのはなぜか、というジャーナリストの質問に対する日本人F1ドライバー、小林可夢偉の発言だ。

 曙ブレーキはマクラーレンへのテクニカルスポンサーを継続しているし、可夢偉の在籍するザウバーをTAKATAが技術支援を開始するなど、日本のクルマ関連企業がF1から完全に消えてしまったわけではないが、日本の企業がF1から遠ざかっているのは紛れもない事実。

 こんな弱腰になっている状況下で、ホンダがF1に復帰するという噂がある。火のないところに煙は立たないというが、ホンダは本当にF1に復帰するのか? その真偽やいかに?

ホンダF1復帰の噂は欧州から流れ出した

WRカーは今年から1.6ℓの直4直噴ターボにチェンジ。400㏄ダウンによりトルクはダウン

 クルマ界は地球温暖化に伴う環境問題、資源問題などにより大きく変貌しつつある。その結果、ハイブリッドカーやEVといった次世代カーが続々登場している。環境問題という点では、サーキットスポーツの頂点に君臨しているF1も例外ではなく、その対応が迫られていた。

 加えてF1は性能追求のためには手段を選ばず、開発費は湯水のように使う、というのがなかば常識化していたが、開発費の高騰を抑える、コスト削減という重要な問題も抱えている。

 FIAもこの点を憂慮。この重要な2つの問題をクリアせずに今後のF1存続はない、と判断。現在のF1のエンジンは、2・4ℓ、V8だが、昨年12月10日に開催された世界モータースポーツ評議会(WMSC)で'13年シーズンから1・6ℓ、4気筒の直噴ターボエンジンに変更されることが正式決定された。

 WRカーも従来の2ℓターボに代わり、今年から1・6ℓ直噴ターボに変更されているが、エンジンはそれとは別物で、エンジンの最高回転数は現在の1万8000回転から1万2000回転に引き下げるが、エネルギー回生システムのKERSなどのエネルギーマネージメントシステムの採用により、現行比で約35%燃費を向上させながら、最高出力は現行の750㎰レベルを目指すという。

 '09年に当時FIAの会長だったマックス・モズレー氏が提案したF1エンジンのワンメイク化はエンジンコンストラクターからの強硬な反対により断念したが、それに代わって小排気量過給エンジンというワールドエンジン構想を提案。これを現在のFIA会長のジャン・トッド氏が引き継ぎ実現させた。

 昨年5月に新エンジンの骨子を決めるためのFIAメーカー会議なるものが開催されたのだが、そのメンバーは、現在F1にエンジンを供給しているフェラーリ、メルセデス、ルノー、コスワースに加え、VWとホンダも参加。

 この会議に参加したことにより、ホンダが'13年にF1に復帰する、という噂が流れ出た。
「F1が1・6ℓ、4気筒の直噴ターボを採用することになった背景には、新たなエンジン供給メーカーを参入させるという目論見もある。その最大のターゲットはVW」(津川哲夫氏談)

 津川氏のコメントから、VWがメーカー会議に呼ばれた理由は理解できるが、なぜホンダが参加したのか? ホンダサイドでは、アドバイザーとして参加したとしているが、ホンダ同様にF1を撤退したトヨタ、BMWは参加していない。ホンダがF1復帰に興味を示しているという何よりの証拠。興味がなければ会議に出る意味はない。

ホンダがF1復帰するという噂の発端になったのはルノーのコーベ氏の発言

 ホンダのF1復帰に関する噂は、すぐに立ち消えたが、前述の世界モータースポーツ評議会で新エンジン決定後、ルノーF1のマネージングディレクター、ジャン・フランソワ・コーベ氏が、

「BMWのF1復帰は時期尚早、VWはF1参戦に躊躇している。復帰の可能性があるのは実は日本のホンダ。欧州メーカーがF1に参戦して技術が進展していくのを指をくわえて見ているわけにもいかなくなったのだろう」

 と、コメント。ホンダの1・6ℓ、4気筒の直噴ターボエンジンへの興味の高さには驚いた、とも付け加えている。

 この発言により、'13年、F1が1・6ℓの4気筒直噴ターボエンジンに移行するのを機にホンダF1復帰するという噂が全世界に流れた。

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