企業・経営
「財界総本山」経団連新副会長人事に「異変」あり

 今年5月26日の総会後に正式に就任する日本経団連の新副会長人事に異変が起こっている。これまで経団連人事は三井系財閥が主要ポストを押さえてきたが、米倉弘昌会長(住友化学会長)が三井系企業を排除し、三菱系を優遇する人事を断行したのだ。

 副会長18人のうち退任するのは次の8人。佐々木幹夫三菱商事相談役、中村邦夫パナソニック会長、森田富治郎第一生命保険会長、槍田松瑩三井物産会長、榊原定征東レ会長、前田晃伸みずほフィナンシャルグループ特別顧問、佃和夫三菱重工会長、氏家純一野村ホールディングス会長。

 新任の8人は、小島順彦三菱商事会長、畔柳信雄三菱東京UFJ銀行会長、勝俣宣夫丸紅会長、大塚陸毅JR東日本会長、斎藤勝利第一生命保険副会長、奥正之三井住友銀行頭取、宮原耕治日本郵船会長、大宮英明三菱重工業社長。

 この人事を見ると、三菱商事、三菱重工が継続して副会長ポストを維持し、加えて三菱東京UFJ、日本郵船といった三菱系が新たにポストを獲得したことが分かる。新任副会長8人のうち4人が三菱系という「異常事態」になっている。

 こうした事態について「8年前に住友化学と三井化学の経営統合の計画が『破談』になったことに米倉氏はいまでも不快感を抱いており、それが三井外しにつながったのではないか」(財界関係者)と見る向きもある。

「現副会長である三井系の槍田松瑩氏と榊原定征氏が、トヨタ自動車や新日鉄などと違ってこれまでの経団連会長企業に比べれば事業規模が小さく、社格も低い住友化学を馬鹿にしてきたため、米倉氏が遠ざけた」(同)との説もある。

問われる経営者の度量

 もしそれが事実とするならば、この人事は東日本の大震災前に決まったとはいえ、経済界も一丸となって復興に取り組まなければならない時期に、「好き嫌い人事」をやっていては、まとまるものもまとまらないのではないか。大きな災難の時に組織のリーダーは人間としての器量が問われることが多いが、「財界総理」の「器」にはどうも期待できそうにない。私利私欲で動いている今の政治家と五十歩百歩ではないか。

 現在の経営者は度量が狭くなっている、と筆者は感じる。批判記事にはすぐに目くじらをたててくるし、訴訟をちらつかせることもある。

 度量の狭い経営者がいる企業の典型がみずほフィナンシャルグループであろう。昨年まで統合した旧3行(日本興業銀行、富士銀行、第一勧業銀行)出身のトップがいがみ合い、適材適所ではなく好き嫌い人事が罷り通る。

 傘下のみずほ銀行では、震災の影響で社会の機能が麻痺しがちな時に追い打ちをかけるように、システムトラブルによって給料振込の処理が止まった。銀行という社会性の高い仕事をしているのに、その責務を果たしているとは言い難い。こうしたトラブルは経営不全による「人災」と言っても過言ではない。

 度量の狭い財界人を手玉に取る「財界ゴロ」も跋扈している。経団連会長経験者や米倉氏とのパイプが太いことを売りにして、「経団連の副会長の座を狙う企業に対し、『俺が口を利いてやる』と言ってその斡旋の対価に高額の顧問料を要求している」(経団連関係者)というのだ。実際に顧問料を出した企業もあるという。こうしたゴロツキは最近まで大手新聞社でそれなりの地位にいた人物であると聞くからなおさら驚くばかりである。

 こんな財界が、国家として戦後最大の危機と言われる大震災の復興に果たしてリーダシップを発揮できるだろうか。

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