高橋洋一「ニュースの深層」
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財務省主導の「復旧」ではダメ!「復興」は新設する「東北州」に任せ、
福島に国会と霞ヶ関を移転せよ

円高に苦しんだ阪神大震災の過ちを繰り返すな

2011年03月28日(月) 高橋 洋一
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「復旧」では悲劇が繰り返される。「復興」でなければダメだ。 【PHOTO】Getty Images

 まず、先週3月21日の本コラムで指摘した「でんき予報」は、23日から公表されるようになった。これは評価したい。

 さて本題だが、東日本震災関係で補正予算の話がでている。被災者の受け入れ自治体ではすでに補正予算がつくられているところもある。

 1995年1月の阪神・淡路大震災の時を振り返って、その問題点を整理しておこう。
当時、住宅や道路などの被害額10兆円に対して3.2兆円の補正予算を組んだ。そのほかに、円高になっていたので円高対策などで補正予算が9.1兆円となった。それらに対する財源のうち、国債発行は9.2兆円だった。補正予算は1995年2月、5月、10月に成立した。

 当時、金融政策は、バブル崩壊以降累次に金利引き下げが行われてきたので、震災以降も金融緩和の動きは鈍かった。政策金利としての公定歩合は意味が薄くなりつつあったが、やっと1995年4月と7月に引き下げられた。

 この対応の問題点は二つあった。

 第一に、被害額に対する予算規模が小さすぎることだ。当時の大蔵省は徹底的にケチった。私有財産に公費は入れられないというのが原則論を振りかざした。さらに、その前段階である復旧についても、原状復旧しか公費を入れられないと主張をした。

 これは、「公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法」(災害負担法)を根拠としている。地震により被災した地方公共団体のインフラについて、原状に復旧する場合にのみ国が資金をだすというものだ。この枠があるため、基本的には震災以前と同じようなインフラを作ることなり、しかも予算規模が縮小する。

 第二に、マクロ経済政策の手順の前後による円高だ。1999年にノーベル経済学賞を受賞したマンデル・コロンビア大教授によるマンデル=フレミング理論では、変動相場制では財政政策の効果はなく、金融政策は効果があるとされている。おおざっぱにいえば、変動相場制の下で、国債発行で財政政策をすると、行わなかった場合に比べて金利が高くなり、その結果、為替が強くなって、輸出が落ち、公共支出増を相殺してしまうのだ。

 まさに1995年の時がそうした状況だった。先に財政支出が決まり、それを先取りする形で震災3ヵ月後には円高になっている。その時の円高は、今回の円高より前の最高値だった。マンデル=フレミング理論から見ると、もっと早く金融緩和に踏み出していれば、その円高は阻止できただろう。

 

次ページ  では前回の震災対応を踏まえて…
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