日本新生のための経済成長戦略を
日本航空、トヨタの轍を踏むな

 最近、外国の新聞や雑誌を読むと憂鬱になる。それは、「日本の凋落」、「日本の危機」、「日本の轍を踏むな」といった論調の記事ばかりだからである。一昔前は、「日本に学べ」、「Japan as Number One」、「日本的経営の秘密」とかいった日本礼賛の合唱であった。

 フランスのル・モンド紙の社説(2月5日付)を読んでいたら、「日本の退潮」という記事があった。この日本没落の象徴として、日本航空の破綻、トヨタのプリウス・リコール問題が挙げられていた。ここまではよく分かる。しかし、政権交代で光が見え始めたというル・モンド記事の後半の結論には異論を唱えたい。

 日本がダメになりつつあることは、海外メディアに指摘されなくても、国内にいてもよく分かる。日本航空、トヨタに続いて、今度はキリンとサントリーの合併話の白紙化である。

 創業者の株式持ち合い比率で折り合わなかったということが原因だと報道されているが、もしそうだとすれば、グローバル企業への転身など無理である。

 国際市場の中で飲料メーカーとして外国企業と対等に競争するためには、それなりの条件整備が不可欠である。ビールの市場は、すでに世界の大手が進出しており、生半可のことでは勝てるわけがない。国内市場が頭打ちのときに、海外進出への絶好の機会を自ら潰したのならば、実に残念である。

 日本航空こそ、政官業の癒着の最たるものであり、親方日の丸体質で、民間企業としての努力を怠ってきた。列車・飛行機でも劇場でも、1等、2等を料金で分けているのは、それなりの理由がある。

 高い料金を支払う人は、それなりのサービスを期待しているからこそ払っているのであり、中途半端なサービスしか提供できないようなJシートなどというシステムは、民間企業の発想からは生まれない。

いつまでパンとサーカスを続けるのか

 官がダメなことの典型例が日本航空である。それを、民の知恵を入れるのではなく、国民の税金で救おうというのだから話にならない。まさに、これこそが日本の凋落を加速化させている。日本航空がなくなれば、企業年金もなくなる。企業が淘汰されるということはそういうことであり、経営者のみならず、社員にもその自覚が必要である。

 この日本航空救済策に見られるように、日本没落は民主党政権の間違った政策によって加速化されている。今の日本の窮状は、小泉政権が始めた構造改革が徹底せず、むしろ後退しているから起こっているのであり、何もかも小泉改革が間違っていたと主張するのは、思考停止以外のなにものでもない。

 郵政民営化騒動で批判された側が、今の連立政権の一翼を担っているが、政治は遺恨で動かされてはならない。国家・国民のためになるのならば、昨日の敵とも手を握る勇気が必要である。

 今や、GDPで日本が中国の後塵を拝しつつある。それは、様々な規制や国際的にも高い法人税などの税制が大きな足かせになり、グローバル企業が育たないからである。「集中と選択」は国際競争に勝つためには不可欠だ。

 海外との財やサービスの交易で国富を増やすことなく、富の再配分政策でパンとサーカスを続けようというのが、民主党政権の政策である。政府が支えながら、郵便貯金の預け入れ限度額を撤廃するようなゆうちょ銀行など、民業圧迫の最たるものである。政府の方針は受け入れがたい。

 私は、派遣労働の問題について「恒産なければ恒心なし」として派遣労働に否定的な哲学を披瀝しながらも、日本企業が海外へ逃げて産業が空洞化することを阻止することを同時に考えて、厚生労働大臣として最適解を出そうとした。今の政権には、このような問題意識も緊張感もない。

 問題は、自民党の中に郵政民営化棚上げの政府方針に賛成する政治家がいることである。このような保守反動派が先の総選挙で自民党を敗北させたのである。このことを理解できない政治家が牛耳る自民党は消えていくしかない。

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