衛星テレビとモバイルの融合市場を狙え
大詰めで一転したフールーの大型買収に潜むディッシュ・ネットワークの野望

新ビジネスを追求するディッシュ・ネットワーク社(2010年全米家電ショーでの風景、筆者撮影)

 以前、このコラムで紹介した米人気ビデオ配信サイト"フールー"の売却が大詰めを迎えている。フールーといえば、2008年3月に一般公開を開始して以来、大手テレビ局の看板ドラマで人気を集め続けている。

 10月に入り、同社売却をめぐる動きは活発化した。アマゾンやヤフー、グーグルが競り合う中、衛星TV放送のディシュ・ネットワークが有力候補として注目されている。次々と買収を重ねる同社は、高速モバイル・サービスと衛星TV放送を融合する異色のビジネス・プランを打ちたてようとしている。

退却を決定した米国ヤフー、執念を燃やすディッシュ・ネットワーク

 まず、フールー売却の経緯を簡単にまとめよう。

 同社はネットフリックス(Netflix)社やアマゾン・ビデオ(Amazon Video)などと人気を争うビデオ配信サイトで、2010年11月から開始した有料サービスのフールー・プラス(Hulu plus)は契約者が100万人を超えた。2011年の売り上げは5億ドルを超えると予想されている。

 業績好調にもかかわらず、ディズニーやニューズ・コープなど同社株主は、経営陣との意見が合わず、過去4ヵ月間に渡り売却先を探し続けている。

 米国ヤフーがいち早く買収に関心を示したほか、グーグルやマイクロソフト、アマゾン、AT&Tやベライゾン・コミュニケーションズ、ディッシュ・ネットワークなど多くの企業が交渉相手としてメディアを騒がせた。

 また、8月ごろにはアップルがフールー買収に関心を示し、大きな話題となった。しかし、アップルはスティーブ・ジョブス氏の最高経営責任者退任などに揺れ、同買収から撤退した。結局、具体的な買収提案書を出したのはヤフー、アマゾン、ディッシュ・ネットワークスだったようだ。

 各社は違う条件で買収提案をおこなったので一概には比較できないが、ディッシュ社が19億ドルともっとも高い買収額を提示した。フールーは売却騒ぎの前に、IPO(新規株式上場)を狙った時期があり、そのときの調達額が20億ドルだった。そのため、買収額は20億ドル前後と予想されていたが、各社はそれを下回る応札額でスタートしたようだ。

 10月9日、ヤフーが買収を断念した。断念理由については、様々な憶測記事が飛び交っているが、応札額というより買収後の株式構成に問題があったようだ。

 一方、正式な買収提案に至っていないが、グーグルはフールー買収に意欲を示している。同社は最高40億ドルまで支払う意思を示す一方、約2年間のコンテンツ独占配信権を狙っているようだ。グーグルが高額のオファーを用意しているのは、ユーチューブやGoogleTVなどで苦戦するデジタル・コンテンツ事業の強化にあることは間違いない。

 本稿執筆段階で、アマゾン、ディッシュ・ネットワークが正式な買収交渉を行っており、その横で提案書は出していないがグーグルが交渉を続けている---という状況だ。

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