「震災とソーシャルメディア:いかに過去事例から学び、グローバルな支援コミュニティと連携するか」
震災をきっかけに拡がる国際社会とのオンライン・マス・コラボレーション

 発生からまもなく2週間を迎え、東北地方太平洋沖地震による被害は、死亡者・行方不明者数の合計は既に2万人を超え、戦後最悪の大災害と言われています。

 政府、ボランティア市民による懸命の被災者支援、復興の努力等が続く中、ツイッター、フェイスブック等のソーシャルメディアの果たしている役割、影響力には、その負の部分も含め、国内外で大きな注目が集まっています。日本のような先進国が、ソーシャルメディアを通じて世界の市民とリアルタイムで繋がり経験する災害。ある意味で、世界が初めて体験する大災害といえるのではないでしょうか。

 現在、既に様々な形でインターネット上のマスコラボレーション(多数の人による協業)は行われています。が、この「世界で初めての経験」に対処する際、国際社会が今まで蓄積した教訓の学習、そしてそのような経験を踏まえた知見を持つプロフェッショナル・コミュニティとの連携、という点において、もっと注意を払ってもいいのではないか、と私は考えます。今回は具体的ないくつかの事例、そしてグローバルなコミュニティをご紹介することでその点に関し考察したいと思います。

ハイチ、チリ、ニュージーランド等の事例から学ぶ

 3月2日の本コラム「ニュージーランド地震にみる、災害時にライフラインとなるソーシャルメディア活用法とは」でもご紹介しましたが、近年、大規模自然災害発生の際にソーシャルメディアが果たす役割が次第に影響力を持ちつつあります。昨年のハイチ地震、チリ地震、パキスタンでの洪水、そしてロシアの大火災に到るまで、あらゆる災害の時にその活用が無視することできない役割を果たしています。

 オープンソースのプログラム「ウシャヒディ」(スワヒリ語で「証言」、「目撃者」という意味)は災害時のソーシャルメディア活用の代表的な事例として世界的に知られています。同システムを利用することにより、災害時に必要な安否、安全情報等、様々なデータを位置情報と連動して現場から収集し、広く可視化することが可能なサービスです。下記は2010年の「ウシャヒディ」の運用実績の一覧ですが、世界中のあらゆる災害等の場面で活用されていることが分かります。

 現在日本でも、地理情報をベースとした情報集約・整理を行っている「東北沖地震 震災情報サイト sinsai.info」というウェブサイトがあります。一般社団法人オープンストリートマップ・ファウンデーション・ジャパンにより、地震発生後、わずか7時間で立ち上げられましたが、ウシャヒディのシステムが採用されています。「sinsai.info」のサイトには、既に世界130ヵ国からのアクセスがあり、被災地の状況や安否に関する情報が6千件近くインターネットを通じて寄せられ、既に必要不可欠なサービスになりつつあります。

 こうした活用実績、そしてその課題に対する検証作業は既にあらゆるところで行われており、そうした過去の教訓は今後の日本の支援・復興作業においても、参考になる点が多くあるものと思われます。