企業・経営
電力会社の「地域独占見直し」も必要な「長期化必至の電力不足」対策
このままでは夏の電力ピークに対応しきれない
東京消防庁。自衛隊、そして東電の現場作業員の献身的な活躍は続く 【photo】Sankei via Getty images

 東日本大震災とそれに伴う津波に襲われた東京電力の福島第1原子力発電所では、ようやく東京消防庁や自衛隊、警視庁・機動隊による注水作業や外部電源の引き込み作業が本格化してきた。放射性物質の漏えいなどリスクの大きい問題も残っており、まだ決して油断はできない。しかし、緊急対策はなんとか軌道に乗りつつあるとみてよさそうだ。

 いまの段階では気が早いとの意見もあろうが、次に待ったなしで浮上する大きな課題は、今後、数年間にわたって継続しかねない中長期的な電力不足にどう立ち向かうかである。東京電力管内の1都8県と東北電力の守備範囲である7県がこの問題に煩わされるようだと、企業の生産活動や経済の成長に及ぼす影響は計り知れない。

 首都圏における機能と人口のこれほどの集中を今後も許すのか、あるいは、化石燃料に変わる最有力のクリーン・エネルギーと考えられてきた原子力発電の位置づけをどう見直すのか、さらには、今後も電力の担い手という重大な任務を東京電力という1企業に任せっぱなしでよいのだろうか…。

 東日本巨大地震は今、日本に、根底から国作りの再考を迫っている。

計画停電の変更で大混乱をきたした通信事業者の復興作業

 計画停電を、石原慎太郎・東京都知事が槍玉にあげたのは、先週末(18日)の記者会見でのことだ。

 東京都のホームページによると、石原氏は、『計画停電』は節電のための緊急避難措置だとしても、影響が様々に出ています」と前置きしたうえで、「一律・画一的な計画停電ではなく、強制力をもってネオンサインを使用禁止にするなど、メリハリのある合理的な『電力使用制限』を行うべきだ」と主張した。

 このところ、石原知事の言動には、ハラハラさせられるものが珍しくないが、この日の発言は例外と言って差し支えないだろう。これほど的確に東京電力に対する国民の気持ちを代弁した言葉はなかったはずである。

 振り返ってみれば、この1週間あまり、計画停電そのものをやるのかやらないのか、 やるとすればどの地域が対象なのか、鉄道を始めとしたインフラへの影響は…と連日、数時間おきに計画停電の実施方針が変更され、国民の多くが翻弄され続けた。

特に、翌日の月曜日から計画停電が実施と伝えられた13日(日曜日) 夜のインフラ各社の混迷には同情を禁じ得ない。

 NTT(日本電信電話)やKDDIといった通信会社は、そうした計画停電の二転三転に振り回されたインフラ事業者の代表格だ。両社は11日の東日本巨大地震の直後から復旧作業に着手、12日のうちに岩手、宮城、福島の内陸部などを中心に電話局と電話局を結ぶ中継 網の復旧を始めていた。そして、14日以降の復旧作業のひとつとして、二次的なサービスダウンを避けるため電話局や携帯電話基地局への非常用発電燃料の搬送作業に着手しようとしていた。この作業には、燃料の確保だけでなく、搬送用のタンクローリーの手当てが不可欠で、両社は不眠不休で東北向けを中心に搬送準備を進めていたのである。

 そんなとこ に突然入ってきたのが、東京電力からの計画停電の方針変更の連絡だった。当初予定していなかった通信事業者の首都圏の施設も計画停電の対象に加えるというのである。大手通信事業者各社によれば「大混乱に陥った」と明かす。というのは、首都圏のサービスを維持するため、東北向けに手当てしていた燃料の輸送計画を見直す必要に迫られたからである。

 同様に、鉄道会社も二転三転した計画停電の被害者である。国土交通省が大手紙に「鉄道会社を除外するように求めたにもかかわらず、東京電力から連絡がない」と不満を露わにするコメントを流す始末だった。

 自家発電設備を持たなかったり、十分でなかったりする病院が、手術や診察を中止せざるを得ない事態も各地で相次いだ。

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