南相馬・現地ルポ ストロンチウム続々検出!「避難者を 自宅に戻す」のは早すぎる

2011年10月15日(土) フライデー

フライデー経済の死角

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「ストロンチウムは、化学的性質がカルシウムと非常に似ている元素で、人体に入ると骨に定着します。そうすると、骨髄などの造血器官が放射線で傷つくため、白血病が誘発される。セシウムが集まりやすい筋肉よりも、骨は代謝されにくいので非常に厄介です。放射性物質が体内に入って半分になるまでの期間を生物学的半減期といいますが、セシウムは100日で半分になる。一方、ストロンチウムは約50年です。同じ量のセシウムとストロンチウムが体内に入ったと仮定すると、ストロンチウムのほうがはるかに被曝線量が高くなるのです」

南相馬市内の人家の庭先で放射線量を測る大山市議。ここからストロンチウム90が1113ベクレル/kg検出された

 そんな危険な物質だというのに、これまでストロンチウムの検出結果についての国の発表はなぜか遅れた。それには理由があるという。笠井氏が続ける。

「セシウムがあれば、必ずストロンチウムもあります。ただ、ストロンチウムは測定に時間がかかる。分析する専門機関が非常に少なく、しっかり測定しようとすると2週間かかります。だからデータがあまり上がってこないんです」

 測定されていないだけで、実際はストロンチウムに汚染されている地域が相当あるということだ。

 そのストロンチウムの汚染状況について、文部科学省もようやく発表した。緊急時避難準備区域が解除された同じ日に、福島第一原発周辺の土壌の分析結果を発表したのだ。

 今年6月から約1ヵ月かけて、80km圏内で土壌を採取して調査したもので、ストロンチウムの最高数値は、20km圏内の福島県双葉町の5700ベクレル/m2(註)。注目すべきは、前出の大山市議の調査結果と同様に、今回解除された緊急時避難準備区域である南相馬市(3ヵ所・600、260、160ベクレル/m2)、田村市(1ヵ所・610)、川内村(3ヵ所・380、130、39)、広野町(5ヵ所・220、150、120、76、61)からもストロンチウムが検出されている点だ。

 南相馬市だけではなく、福島県の広い範囲でストロンチウムが検出されているのだ。また、原発敷地外としては初めてプルトニウムの検出も確認されたのである。全国紙社会部記者が言う。

「文科省は、検出されたプルトニウムやストロンチウムの沈着量が、セシウムに比べて微量なので、今後もセシウムに着目するのが適切だとしています。『無視しよう』という態度がみえみえです」

山の汚染こそ危険

 避難準備区域を解除するなら、当然、除染して放射線量を低くするのが先決のはずだ。が、実態はお寒い限りだ。南相馬市で鮮魚店を営む男性(59)が訴える。

「ここ(店の前の道)は通学路だから、車道と歩道のアスファルトを高圧洗浄機で洗い流したんだ。だけど、その水と土砂が全部、脇の側溝に流れ込んで、放射線量が高くなってしまった。すぐ脇には畑があって、除染されていないから、風が吹けば元に戻ってしまうよ」

(註)文部科学省によると、ベクレルの「/m2」と「/kg」の換算目安は<2万2000ベクレル/m2=338ベクレル/kg>となる
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