平均株価は記録的下落!トヨタ、日産、航空産業に及ぶ東日本大震災の「深刻な打撃」
原発問題だけじゃない
日経平均が大幅に下落した〔PHOTO〕gettyimages

 まず初めに東日本で大震災に被災された方々にお見舞い申し上げます。一刻も早い復旧を願っております。

 さて、今回の大震災の影響で日経平均が大幅に下落するなど経済も大きな打撃を受けている。被災地域に工場を抱える製造業では復旧の目途が立っていない企業もある。

 こうした状況は各メディアで報じられているが、航空機生産に影響が出る可能性のあることはあまり知られていない。大きな被害を受けた福島県相馬市にあるIHI(石川島播磨重工業)相馬工場(従業員約850人)では、ボーイングやエアバス向けのジェットエンジン部品の鋳物から切削加工までの一貫生産をしているが、大震災で操業が停止しており、復旧の目途が立っていないという。

 1998年に新設された同工場は、民間機の旺盛な需要に対応するため、構造不況的な造船重機産業の中では珍しく設備投資を繰り返し行って能力を拡大してきた。田無工場から生産を移管し、フル稼働の状況が続いていた。

 3年前には約40億円を投資し、新型の「ボーイング787」向けエンジン部品を製造する4番目の加工棟を建設したばかりだった。筆者は2000年の秋、相馬工場を取材で訪れたが、当時もフル稼働で生産能力が足りない状況だった。

 生産する主力部品は「タービンブレード」と呼ばれる羽根で、1500度近い高温高圧の燃焼ガスが吹き付けられて回転するエンジンの心臓部だ。タービンブレードを取り付ける回転部品のディスクも生産している。納入先は、飛行機エンジンを生産する米GE(ゼネラル・エレクトリック)や英ロールスロイスなどだ。関係者によると、IHIの部品がないとエンジン生産ができないという。

福島原発に近い工場への影響

 IHIによると、従業員全員の安否は確認できてけが人等はなく、工場も高台にあるため大津波の影響も受けていないが、工場の天井が一部崩れたという。こうした点では大きな問題はないが、高温高圧下で回転する「タービンブレード」は小さな傷があっても損傷するため、厳しい品質管理が求められており、大きな揺れを受けた精密加工機械の設定を再調整する「精度出し」など再点検に時間がかかる可能性もある。大震災が国際商品である「飛行機」の生産に影響を与えかねない状況だ。

 自動車産業も大打撃だ。同じく福島県内にある日産自動車いわき工場(従業員約640人)も操業を停止。余震が続いているために工場内の設備の損傷状況等はまだ確認できておらず、今週一杯生産を止める予定という。

 同工場では「VQエンジン」と呼ばれる、高級車「フーガ」「スカイライン」や大型ミニバン「エルグランド」向けのものを生産しており、年産能力は約56万基ある。ただ、いわき工場は東京電力の原子力発電所から約50キロの距離に位置しており、操業再開にあたってはトラブルが続く原発の今後の展開も見極める必要がある。

 日産では栃木工場も今週一杯操業を停止し、全国にある他の工場も16日まで稼働を止める予定だが、部品の供給状況等を見て、予定が変わる可能性もあるという。

 トヨタ自動車も関連企業を含めて、岩手県や宮城県に工場が集積している。子会社のセントラル自動車は今年1月に宮城県黒川郡大衡村に完成車生産の新工場を稼働させたばかり。輸出用「ヤリスセダン」を仙台塩釜港から船積みしている。ともに子会社で同郡黒川町にあるトヨタ東北では電子部品、プライムアースEVエナジーではハイブッリド車向けの電池などを生産している。

 関連企業の関東自動車工業は岩手県一関市に完成車生産工場を持つ。工場の建物や生産設備に大きな影響は出ていない。こうした東北地区の工場も含めてトヨタは国内の全拠点の生産を16日まで止める予定だ。部品を供給する物流網がどこまで回復するかの問題もあり、状況によっては17日からの操業再開も難しくなる可能性がある。
 

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