不正・事件・犯罪
あのとき小沢がもらした本音ーー田中角栄、金丸信とだぶる小沢一郎の「ロジック」
【PHOTO】Sankei via Getty Images

 資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法(虚偽記載)の罪で強制起訴された民主党元代表・小沢一郎の初公判や記者会見を、小沢の政治の師である元首相・田中角栄や元自民党副総裁・金丸信とだぶらせながら見ていた。田中はロッキード事件で有罪判決を受け、金丸は東京佐川急便(現佐川急便)からの5億円献金事件で起訴された。

 当時、田中や金丸と会っていて、今も政治をウオッチし続けているのは私を含めほんの数人だろう。それぞれと小沢を比較すると、事件の態様においては金丸と、検察や裁判所への対応では田中と酷似している。

金丸事件と同じロジック

 金丸は1992年9月、5億円献金事件で政治資金規正法の量的制限違反の罪で東京地検特捜部に略式起訴され、罰金20万円を支払った。当時、この対策に当たり、東京地検との徹底抗戦を主張していたのが小沢だった。その理由を、小沢は5カ月後、93年2月の衆院予算委員会での証人喚問でこう説明している。

「いまだかつて、戦後、政治資金規正法で直接立件された政治家はおりません。それは政治団体の収支の方の違反として処理されてまいりました。たとえばリクルート事件におきましても、政治資金団体の収支として、違反として、その団体の責任者が罰せられたということで事件は終了している。そういう意味におきまして、政治家本人を立件していくという形はどうしても納得できないということを弁護士を通じて申し上げてきた」

 政治資金規正法に基づく収支報告書への記載を軽く見て、前例がないことを理由に罪を問うべきではないというロジックは今回と同じだ。

小沢は今回、意見陳述で「そもそも政治資金規正法に間違いがあったり不適切な記載があった場合、会計責任者が総務省に報告書を修正することが大原則」と強調した上で、「何百件、何千件と数え切れない報告間違えがあっても実質的な犯罪でないものは、すべて収支報告書の修正で処理されてきた」と力説。「なぜ、私だけが単純な虚偽記載で、何の説明もなく、突然に原則を無視して強制捜査を受けなければならないのか。到底、公正で厳正な法の執行とは言えません」と検察当局を非難している。

 19年前に「なぜ金丸だけが…」と言ったように、今は「なぜ私だけが…」と言っているわけだ。だが、数百万円程度の記載ミスは多々あっても、4億円もの記載ミスは前例がない。しかも、その原資について記者会見で問われると、小沢は「原資は私のお金だ。詳しく聞きたければ、検察に聞いて。私が知らないことまで全部調べているから(検察に)お聞きください」とかわした。

 小沢がまた、検察当局を鋭く批判した。

「検察が政治家・小沢一郎個人を標的とした。政治的、社会的に抹殺することが目的」「特定の政治家を対象に強制捜査したのは明らかな国家権力の乱用であり、民主主義国家では到底許されない暴力行為」

 自分への捜査を民主主義への挑戦と受けとめる点では田中とそっくりだ。田中は83年10月、有罪判決を受けて発表した「所感」で「わが国の民主主義を守り、再び政治の暗黒を招かないためにも一歩も引くことなく前進を続ける」と表明した。

 大半の国民は日本を民主主義国家だと思っているだろう。政治権力の頂点に位置していた田中や小沢が司法によって迫害されていると声高に叫ぶ-。どこか、ずれていないか。小沢の発言は田中の言葉を聞いた時と同じ違和感だ。

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