中国
温家宝首相「全人代施政方針演説」の数字から中国経済を読み解く
「戸籍制度」が最大の課題に
温家宝首相〔PHOTO〕gettyimages

 日本が前原前外相の辞任騒動で揺れた3月5日朝、温家宝首相は北京の人民大会堂で、一年にたった一度きりの2時間にわたる施政方針演説をぶった。社会主義国の中国では、「両会」(全国人民代表大会=日本の衆議院に相等と全国政治協商大会=日本の参議院に相等)と呼ばれる国会は、3月前半のこの時節、2週間しか開かれない。

 そのうち、全人代の初日の冒頭、首相が「政府活動報告」を行うのが、半世紀も前から続く習慣だ。

 温家宝首相にとって8回目となる今年の政府活動報告は、例年の「絶叫調」ではなく、各項目でいちいち数字を列挙しながら、丁寧に説明したのが特徴的だった。以下、温首相が強調した数字を解説する。そこからいまの中国経済の実態が、克明に浮かび上がってくる。

8%と7%

 昨年のGDPの伸び率は、10・3%を記録したが、今年のGDPの成長目標は8%、今後5年間のGDP成長目標は年間7%と、控え目な設定にした。これには様々な意味合いが込められている。まずは、アジアの発展途上国特有の、廉価商品の輸出特化型経済成長モデルに限界が来ていることが挙げられる。

 第2に、不動産バブルや物価の高騰など、急成長に伴う副作用が無視できない規模に達したため、これらの抑制を優先する方針を打ち出したこと。そして第3に、来年秋、胡錦濤総書記、温家宝首相以下、共産党最高幹部が交代するのに伴い、中央入りを覗う地方幹部の点数稼ぎのために、全国各地で乱開発が加速化していることだ。総じて言えば、日本を追い抜いて世界第2位の経済大国となったいま、中国はGDP至上主義から脱却したということが言える。

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