学校・教育 シンガポール
もはや東大はピョンヨン大学並み!?ハーバード、エール、シカゴーーアメリカの一流大学が続々進出、「アジアの教育ハブ」を目指すシンガポールの国家戦略
金融、空港、教育でアジアのハブを目指すシンガポール   【PHOTO】Bloomberg via Getty Images

リークワンユーが認めた学校

 1年ぶりにシンガポールを訪問した。1年前に比べてもその熱気は日本やアメリカをはるにかに凌駕するもので、やはり経済の中心はアジアにありと痛感した。そのアジアでもアメリカ高等教育の勢いを実感した。

シンガポールに出向いた理由の一つはシンガポール大学との打ち合わせだ。シンガポール大学にはリークワンユースクールという公共政策大学院がある。公共政策を学ぶなら世界トップの学校の一つだと思う。実際、中国共産党の幹部候補生をはじめASEAN諸国やインドの政府の若手官僚がこの学校に集っている。日本からもようやくではあるが、経産省や金融庁の若手が官費派遣留学をしている。NHKや朝日新聞からも企業派遣が始まっている。

 45年前、マレーシアから切り捨てられ、独立を余儀なくされた都市国家シンガポール。当時マレーシアとの交渉を仕切ったリークワンユーは、切り捨てられた時、途方にくれて涙を流しながら独立の記者会見をした。資源も何もなかったシンガポールを、45年で一人当たりGDPで、日本を上回るアジアで最も豊かな国に仕立てたのが、シンガポールの公共政策である。

 国家と言うより企業に近い運営は、株式会社シンガポールとの異名をとる。物流、観光、教育、次世代技術、金融等でアジアのハブを目指し、現実に一部では世界のハブとなりつつある。そのための規制や税制の改正も実に機動的で、インフラ整備も迅速だ。

 シンガポールは国が小さいから機動的な国家運営ができた、と日本の評論家は簡単に言うが、シンガポール同様の人口の少ない国でも、建国から45年で世界トップクラスの豊かさを実現させた事例はほかにはないのではないか。

 そのリークワンユーが唯一名前を許した施設が、このリークワンユースクールである。いかなる病院や財団にも名を残すことを嫌った氏が、唯一この学校による命名を許したわけは簡単だ。自らが決断実行してきた優れた公共政策を、今後も作成実施できるよう研究するというこの学校の目的に共感したからだ。

 私は来年からこのシンガポールで日本の政治経済について講義を持つことを依頼された。シンガポールには親日家が多く、日本の製品やサービスはおおむね高感度が高い。最近は韓流ドラマやK-POPに押され気味だが、日本のカルチャーにも関心が高い若者も多い。公共政策を学ぶアジアの俊才たちの日本への関心も高い。ただ、その背景にある理由はちょっと複雑だ。

「日本では何であんなにころころと首相が交代するのか?」「日本はなぜ20年以上もデフレから抜け出せないのか?」「日本はGDPの二倍以上の借金があるがギリシアのようにならないのか?」ーーこれらが公共政策を学ぶアジアの次世代リーダーに関心があるテーマなのだ。

 シンガポール大学幹部によると、これらの疑問を論理的に説得力を持って説明できる日本の専門家がアジアには不足しているという。私としても、日本にとって最も大事なパートナーであるアジアの次世代リーダーたちに、正しい日本の姿を伝えることができる願ってもないチャンスである。いい意味でも悪い意味でもこれから経済過熱を迎えるであろうアジア諸国には、日本の経験からしっかり学んでほしい。さて、その様子はおいおいこの連載で伝えることとして、今回の話題はシンガポール大学幹部がその次に漏らした言葉がきっかけだ。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら