借金は税金で国民に負担させ、資産は天下り先に温存ーー朝霞宿舎だけでない国有地売却を拒む「霞ヶ関の論理」
ギリシャは500億ユーロの資産を売却
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 先週10月3日付けの本コラムで朝霞公務員宿舎問題をとりあげた。ほかの先進国は公務員宿舎などまず持っていない。それでも必要なら民間に売却して、それを借り上げるのが基本だろう。

 朝霞についていえば、埼玉県にある他の公務員宿舎を売却し、民間が建て直し、それを借りればいい。わざわざ朝霞の森を切ってまで新設することはない。しかも、事業仕分けの凍結という結果を曲げてまで行う必要はまったくない。

野田政権の選択は、再凍結か被災者受入という条件で建設と書いたが、結局、3日の野田首相の判断は再凍結だった。再凍結より被災者受入で建設のほうがよかったと思うが、新設公務員宿舎に民間人が入るのを好まなかったのかもしれない。

まったく進んでいない公務員宿舎の売却

 また、凍結とともに「都心3区の公務員宿舎は危機管理用を除いてすべて廃止。16カ所で売却」という方針も表明された。

しかし、5年前の小泉政権下では、私が作成に深くかかわった「骨太2006」で、「今後10年間で国有資産の売却約12兆円」との方針を示し、公務員宿舎の売却収入は1兆円が見込まれていた。その時に公表された宿舎の「移転・再配置計画」では、都心3区の宿舎について、今回の野田政権の方向とほぼ同じものが出ていた。

同計画では、2006年1月現在、都心3区(千代田、中央、港)には33宿舎(1782戸)あった。これを2010年3月には16ヵ所を売却し、17宿舎(1531戸)へ、2017年3月には12宿舎(1215戸)へ減らすとしていた。また、この12宿舎は危機管理用など移転困難なもととしている。