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「ソーシャル」こそが再びテレビを甦らせる
佐々木俊尚×有吉昌康(株式会社PTP社長) 第2回

vol.1 はこちらをご覧ください。

有吉: 今までは放送局と家電メーカーはお互いWinWinの関係でした。家電メーカーがどんどんどんどんいいものを安く作っていけばテレビを見る機会が広がってきたと思うんです。しかし、今はもうそうじゃなくなっているんじゃないでしょうか。自動CMスキップ機能みたいのを作ってしまって両者の利害が反しているわけです。

佐々木: そうですよね。

有吉: あるいは3Dもそうです。僕は流行るかどうか分からないと思ってますが、どんどんそっちの方向に家電メーカーさんが独自に進化していったりする。

佐々木: 流行らないと思いますけど、個人的には。

有吉: はっきり言うと僕もそうだと思います(笑)。

佐々木: 前回の続きに話を戻します。家電メーカーに「番組評価互助会」の話を持って行っても全然反応が悪かったということでした。

有吉: そうです。やっぱりいろんな思惑があって、皆さん「ウチではやらない」と仰った。

佐々木: では自分でやるしかないかと。

有吉: そうなったら自分でやるしかないですよね。自らのリスクで行けるとこまで行ってみようと、思ったんです。

 そのときはまだコンセプトしかなっかった。こういうことがこういうふうに出来たら面白いはずだっていうのを紙で説明しても、やっぱり皆さん「君の言ってることは分かるけど・・・」というところで止まっていた。じゃ、実際のモノを見せるところまで自分で扉を開けてみようと、そのとき決断したんです。

佐々木: 通常は、電子番組表を入り口にするのがごく当たり前なアプローチだと思うんです。そうではなくて独自のキーワードで検索できるようにするとか、あるいはソーシャルな機能を加えるのは、多分当時誰も思いつかなかったし、海外にもなかったと思うんです。

有吉: そうですね。私の知る限りでは、全録してすべてが検索できるのはSPIDERが世界で初めてだと思います。

佐々木: なぜそれを思い付いたんですか。

有吉: 単純に、そういうふうにテレビを見たかったし、CMと出会いたかったんですよ。面白いCMがあったと聞いても、テレビの前に24時間座っていたって出会うかどうか分からないわけじゃないですか。でも、検索ってやろうと思えば出来るわけです。

佐々木: 本にも書いたんですが、テレビCMも面白いコンテンツがたくさんあって・・・。 当時流行っていたのが、サザエさん大人になったCMシリーズって・・・。

有吉: ああ、グリコの。

佐々木: あれも日頃テレビを見ない人間は、いつやっているか分からない。CMの放送時間は番組表にも載っていない、ウェブに行けば載っているんでしょうけどね。そのときにSPIDERがあると、見たいCMをその場ですぐ検索できる。これはCMがとばされる対象ではなくて、エンターテイメントとして再生される可能性があるんじゃないかと書いたんです。実際そうだと思います。

有吉: 絶対そうですよ。日本でCMを作ってらっしゃるクリエイターの方たちの能力はも、すごいじゃないですか。素晴らしいものを作られます、アイデアにしても映像にしても。これを、全体がシュリンクするとともにシュリンクさせてはいけないと、僭越ですけど強く思っていましたね。

会見の録画映像を見ながら考える大臣

佐々木: SPIDERの最初のバージョンは、いつ出されたんですか。

有吉: 2006年にプロトタイプが出来た。モニターでいろいろな人に使っていただけるようになって、バグを直しながらバージョンアップさせ、正式にプロ用として発売したのが2007年です。

佐々木: 個人用のが?

有吉: 200セットの台数限定で2008年6月ですね。

佐々木: 評価、評判はどういうのが多いんですか。

有吉: プロでは、皆さん「もう離せない」とありがたく仰っていただいてます。

佐々木: 基本的には広報とかそういうところですか。

有吉: そうです。よく、放送局とか広告代理店という業界関係がまず使っているんだろうと言われる方がいるんですけど違うんです。普通の大企業の広報部ないしは宣伝部がまず、導入しました。

佐々木: 自分の会社が、ニュースの題材になったり紹介されてるのを全部チェックしなくちゃいけないですからね。

有吉: そうです。新聞のクリッピングはどこでもやってらっしゃると思うんです。それのテレビ版が出来るということです。

佐々木: 今までは業者に頼んでいたのを自分のところですぐ出来るようになる。しかも自動的にということですね。

有吉: 一般企業から始まって今は中央官庁ですね。霞ヶ関もほとんどSPIDERです。

佐々木: そうなんですか。それはニュースをチェックしているんですね、きっと。

有吉: 例えば、ある大臣はSPIDERを導入してから、毎日、録画映像で自分の会見を見てフィードバックして、次を考えるようになったそうです。

佐々木: メディアがどう反応しているかを見ていたんだ。

有吉: SPIDERでやり始めてから会見が変わったと僕は思っているんですけど。

佐々木: へえー、凄いですね。SPIDERが政治にも影響を与えている(笑)。

有吉: いえいえ(笑)。

 でもね、メディアの先には視聴者がいるじゃないですか。視聴者がどう思っているかのフィードバックをちゃんと得てから喋るなり発信する、そういうマインドが出来るだけでも全然違います。

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