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スペシャルレポート中国・北朝鮮に異変あり
全日本人必読! 報じられない「暴動」の数々、そして「独裁」崩壊
ムバラク政権を転覆させたエジプト。22年前の天安門事件を髣髴させる〔PHOTO〕gettyimages

丹羽大使は北京に駐在する新聞・テレビの支局長に対し、
緊急招集をかけたのだが、大使は意外なことを口にして・・・

 中東で起こった「革命」は、遠くアジアの国々にも飛び火した。中国政府は反旗を翻した天安門世代に手を焼き、北朝鮮は外部からの情報流入を恐れている。弾圧が繰り返されるのか、それとも---。

毎週日曜日午後2時に

「毎週日曜日の午後2時に反政府デモを起こそう!」

 中国で何者かが、こんな呼びかけをインターネットで行って以降、「日曜日午後2時の反政府デモ」は、燎原の火のごとく中国全土に広がりを見せている。いまや中国政府は、全国の武装警察と公安警察を総動員して「毎週日曜日午後2時の厳重警備」にあたっている。このような〝非常事態〟は天安門事件以降、久しくなかったことだ。

 1989年春、ロシアや東欧の社会主義国から巻き起こった民主化の嵐が中国にも飛び火し、民主化を求める若者たちが数ヵ月間にわたって、かつて毛沢東が建国を宣言した「聖地」天安門広場を占拠した。これに対し、同年6月4日、業を煮やした最高指導者・鄧小平は人民解放軍の突入を指示。重武装した人民解放軍が若者たちを容赦なく殺戮した。犠牲者の数は1000人を超え、民主化運動はあっけなく蹴散らされてしまった。いわゆる天安門事件である。

 あれから22年。いま中国が再び「動揺」している。昨年末にチュニジアで始まり、アフリカや中東に広がりを見せる「ジャスミン革命」旋風が、中国にも飛び火しつつあるからだ。日本では報じられない「大きな変化」が、中国で起ころうとしている---。

 旧暦の大晦日(2月2日)の晩、中国中央テレビ(CCTV)は、中国版の紅白歌合戦『春晩』を放映した。国民的人気を誇る毎年恒例の番組だが、今年は少し様子が違った。多くの国民の眼は『春晩』ではなく、同じ時間に放送された『壹周立波秀』というお笑い番組に釘付けになったのである。この番組は、元日本留学組で「上海の喜劇王」こと周立波が、ひたすら毒舌でしゃべりまくるもの。この夜、喜劇王はいつもより饒舌に、鋭い体制批判を繰り出したのである。例えばこんな具合だ。

〈一昔前までわれわれ庶民は皆、清く貧しく生きていて、ただ政府官僚だけがのさばっていた。政府官僚は、『経済成長すれば誰もが豊かになれる』と説き、われわれはそれを信じて頑張った。そうしたら街にビルが建ち、道は拡張され、景色は一変した。だがわれわれ庶民は、相変わらず清く貧しく生かされており、政府官僚だけが、経済成長によって『焼け太り』した〉

 CCTV以外の多数の地方テレビ局や衛星テレビ局までもが、旧正月の連休の間中、このお笑い番組を、繰り返し再放送したのだった。周立波が「笑い」に込めるのは、強烈な中国政府批判。体制批判はご法度のはずの中国メディアが、なぜこんな大胆な番組を放送したのか。周立波とも親交があるという中国の有力新聞社社長が解説する。

「今年43歳の周立波は、青年時代に民主化を夢見て果たせなかった『天安門世代』に属し、この世代は、共産党独裁政権への強烈な鬱憤をDNAとして持っています。事件当時の学生たちはいまや40代になり、中国の各マスコミの現場責任者として活躍しています。そんな彼らが『ジャスミン革命』を絶好の機会と捉え、巧妙な形で、22年前の報復に出ているのです。例えば周立波の場合、『コメディアンの彼に好き放題言わせておけば庶民のガス抜きになるが、取り締まれば庶民の反乱が起きる』という建て前を広電局(テレビを管轄する省庁)に説明して、放送を続けています」

 この番組に限ったことではない。今年に入って中国マスコミの論調は、これまででは考えられないほど「先鋭化」してきている。

 例えば「ジャスミン革命」の様子は、その一挙手一投足を連日、中国マスコミが伝えている。しかも、独裁者のムバラク前大統領やカダフィ大佐は完全に悪役で、「民主化しない国は、早晩このような運命を辿る」とする論調が目立つ。アフリカや中東の市民が万歳している写真は、まさに22年前の天安門広場の様子を髣髴させ、「次の革命は中国で起こる」ことを印象づける。

 また、市民とマスコミの怒りが大臣を更迭させるという、中国では前代未聞の〝事件〟も起こった。

 発端は、旧正月(2月3日)の帰省ラッシュ時に、帰省列車の切符の売り切れが相次ぎ、全国の主要駅で暴動が発生したことだった。独立色の強い新聞や雑誌が、鉄道部の役人たちが裏で切符を高値で卸し、不当な利益を懐に入れていたと暴露したことで市民の怒りは頂点に達した。その後、劉志軍鉄道部長(鉄道相)が、2月25日に解任され、検挙される事態にまで発展したのだ。共産党中央委員会が事実上、各大臣を任命する中国において、現役大臣の検挙は天安門事件以降、例がない。

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