どう闘うべきなのか、そもそも闘えるのか
いつかあなたも直面する「末期がん」の大研究

(週刊現代)

 がんで死亡する人、毎年35万人。つまり、これだけの人々が最後は末期がんを経験して亡くなっていることになる。早期で発見できれば治すことはできる。だが、「手のほどこしようがない」と言われたとき、いったいどうなってしまうのか。

 だからこそ「早期発見」と医者は言うが、実際にはそれが困難だからこそ、末期がん患者が巷に溢れているという現実がある。

 友愛記念病院一般内科の平岩正樹医師が語る。

「一般の方は『どうしてそんなに広がるまで気付かないのか』と思われるかもしれません。でも、がんとはそういう病気で、末期になっても症状はほとんどないと言っていいのです。医師である私だって、胃がんでも胆管がんでも、末期になるまで自分で気づくことはないでしょう。がんというのは、ある意味やさしい病気で、死ぬ直前まで何も悪さをしないのです」

抗がん剤治療の第一人者である佐々木常雄医師

「末期がん」とは、いわば便宜的な用語なのだが、一般的な解釈はある。がん・感染症センター都立駒込病院院長の佐々木常雄医師が言う。

「一般的にはもっとも進行したステージⅣを末期がんと呼ぶことが多い。病気が進行してもう治療法がなく、手の施しようがない状況、あるいは何も治療しなかったら6ヵ月ほどしか生きられない状態のことをこう呼んでいるのです」

 つまり、末期がんの宣告は、ほぼ死の宣告に等しい。冒頭の佐藤さんは、不思議と恐れは感じなかったと言うが、激しいショックや不安、恐怖感などに打ちのめされるのが普通の反応だ。

 では、末期の何が恐いのか。こんなデータがある。

「日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団が行ったアンケート調査の中に、『死期が近い場合、心配や不安に感じること』という質問項目があります。最も多かった回答は、『病気が悪化するにつれ、痛みや苦しみがあるのではないかということ』で、66.7%の回答率でした」(日の出ヶ丘病院ホスピス医・小野寺時夫医師)

 耐えがたいほどの痛みや苦しみに対する不安や恐怖---これが末期がんに対する怯えの根底にあるのだ。

「例えば胃がんでは、病期が進むと『腹痛』や『吐き気』などの症状が出てきます。また、スキルス性胃がんなどでがん細胞が腹膜に転移すると、がん性腹膜炎を起こして腹部に水が溜まり、パンパンに張ってきて苦しくなる。場合によってはチューブで抜きますが、抗がん剤が効くと、腹水がなくなる方もたくさんいらっしゃいます。胆のうがんや膵臓がんでは黄疸が出ることがあります」(前出・佐々木医師)

 肺がんも、末期になると酷い痛みが出ると恐れられてきたがんの一つだが、これらの痛みは、がん細胞そのものから発せられているわけではない。

「がんが痛むのは、増殖したがん細胞が神経を圧迫するからです。肺にはほとんど神経がないので、10cmのがんができても痛くない。肺がんの痛みは、がん細胞が胸膜や肺の表面、胸郭の神経に当たるようになると起こる。さらに、骨に転移しても周辺の神経を圧迫するので痛みます」(前出・平岩医師)

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