大阪都、中京都、新潟州---新構想相次ぐ「二重行政」県・市体制の抜本改革を促す[大都市制度]

2011年03月11日(金) 毎日フォーラム
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 「大阪維新の会」は今春の府議選、大阪・堺両市議選で過半数の議席獲得を目指している。それが実現すれば、5月にも府と両市による協議機関を設けて、新たな都と特別区の権限や財源の配分を協議。住民投票を経て、次期統一選の2015年4月には初の特別区長・区議選を行うとの工程表を示している。

 現行の地方自治制度は基本的に都道府県と市町村の2層制だ。都道府県は市町村を包括する広域自治体だが、名称の違いに明確な定義はない。歴史的には明治維新の廃藩置県で東京、京都、大阪が府になり、整理統合を経て1888年に現在とほぼ同じ1道3府43県体制になった。東京府内に巨大な東京市が置かれていたが、太平洋戦争中の43年、首都に対する国の統制権を強めるために東京府と東京市が廃止され東京都が誕生した。戦時体制の産物ともいえる。

 戦後の47年、地方自治法施行で地方公共団体(自治体)として「東京都」の名称が残ったが、人口が高度に集中するエリアは特別区に住民自治を委ねるという、文字通り特別な仕組みになった。東京23区はそれぞれ人口規模では他県の中核市規模かそれ以上だが、上下水道や消防などは都が引き受けている。

 財政面では法人関係税や固定資産税を財源にした財政調整交付金が都から交付され、各区の財政不均衡を是正するなど都の関与が強い。例えば新宿区(人口32万人)の場合、11年度一般会計予算案(総額1391億円)では歳入の18・4%にあたる256億円が都からの交付金で賄われる。しかし、区長、区議とも公選される自治体住民意思が反映される点は他の市町村と変わりない。

 橋下氏は、地盤沈下が進む大阪をよみがえらせるためには、都市基盤や産業基盤の整備は「一人の指揮官」で「大阪都」が担い、身近な住民行政は基礎自治体の「特別区」が役割を分担することが必要と強調する。同氏は「東京都中央区は区長が選挙で選ばれ予算編成権もある。大阪市中央区は出先機関に過ぎない」と述べ、新たな基礎自治体の自治権を拡充する、と「分権に逆行」との批判に反論する。

 一方、平松邦夫市長は「大阪維新の会」のマニフェストについて「市をつぶす構想であることがより一層はっきりした」と強く反発している。

抱き合って当選を喜ぶ河村たかし氏(左)と大村秀章氏=名古屋市内で2月6日

 この「都構想」は愛知県にも飛び火した。2月6日の知事・市長のダブル選挙で、市民税減税をスローガンに名古屋市長選で再選された河村たかし市長と、それに相乗りする形で初当選した大村秀章知事が、ともに「中京都構想」をぶち上げた。

 大村氏は昨年12月6日の会見で「県と名古屋市を合体する。唯一の強力な司令塔で二重、重複行政を解消する」と話した。だが、名古屋市の基礎自治体としての具体的な形を問われると「東京都のような特別区にするのか、名古屋市の今の形を残すのか、いろいろ形はある」と歯切れが悪く「専門家の意見や市民の意見を聞く」と明言を避けた。

 愛知・名古屋の合体に合意した河村市長は「大阪都構想と理念は同じ」とし「大阪は選挙で区長を選ぶ。わしはそれよりも地域委員会で住民に基づくところで選ぶ」と具体的なイメージは固まっていないようだ。

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