「国家公務員法改正案」閣議決定見送りの真相
あまりに次元が低い政権内抗争

 2月12日、国家公務員法改正案が閣議決定される予定であったが、閣内の意見調整がつかず、見送りにされた。

 鳩山政権にとって、脱官僚依存は公約スローガンの筆頭格であったが、その具体策である法案のつまづきは、政権内のどたばたぶりを示している。

 報道によれば、原口一博総務相が幹部降格の規定が実際に発動できるかどうか明確でないとの理由で異論を唱えた。

 その意見自体はある意味でまともであるが、原口総務相の真意は別のところにあると、私はみている。

 というのは、これは閣議前に言っておけば済む程度の話だからだ。法案を閣議決定する場合、事前に各府省協議が行われるが、そのときに規定ぶりに異論があるならその旨を事務方に伝えておけばいい。

 実際、9日の総務省政務三役会議で、原口総務相は、法案を担当する国家公務員制度改革推進本部事務局次長でもある階猛総務省政務官に「原口は激怒していると伝えてくれ。紙を書いた担当者を呼んで説明してもらいたい」と指示している。

 その政務三役会議で、原口総務相は、「官民人材交流センター」が看板掛け替えで存続することや「事務次官」も事実上残ることに否定的な見解を示していた。

 政治家が表の会議で発言するときには表向きの建前とともに、別の本音もある。原口総務相の今回の発言は、鳩山政権内での主導争いがあると思う。

政権の二枚看板が「反小沢」に

 いうまでもなく、鳩山政権には「小沢陰関数」といわれる権力の二重構造がある。「陰関数」とは、表の関係ではなく、裏で支配的な関係があることを示す言葉だ。

 鳩山政権は、自分自身の偽装献金問題とともに小沢問題で支持率が急落している。今国会でも、これらの政治とカネの問題でしばしば苦境にたっている。

 そこで、急遽、鳩山政権唯一のヒットである事業仕分けを仕切った枝野幸男元政調会長を行政刷新担当相に任命した。

 それまで枝野氏については首相補佐官にするなどといった人事話がくすぶっていたが、内閣支持率低下にこらえきれなくなって決断したのだろう。

 枝野行政刷新相は、表立って小沢氏とバトルを演じたことはないが、反小沢であることは周知の事実だ。

 国家公務員法改正を担当する仙谷由人国家戦略担当相も反小沢の代表格である。鳩山政権の二枚看板である国家戦略と行政刷新の二つのポストが反小沢になった。

 こうなると閣内バランスから、最近小沢氏に急接近し親小沢になった原口総務相の出番になる。原口総務相は次官廃止について仙谷国家戦略相と一致しているという。

 しかし、次官廃止について、かつて仙谷国家戦略相がぶち上げたが、その後官僚の抵抗にあって立ち消えになっている。それをあえて公言するのは仙谷国家戦略相への当てつけでしかない。

 しかも、法案の問題点があらかじめ明らかなものについて、閣内未調整なら閣議案件にせずに延期すればいいのに、わざわざ閣議案件にしておいて対外的にわかる形で反対してみせたのは、政治的な意味があると言わざるをえない。

 今回の閣議決定見送りは、公務員制度改革という名を借りた閣内の親小沢と反小沢の政治対立なのである。

 では制度改革の中身、そのものはどうなのか。公務員制度改革は一般には何が争点なのかわかりにくいが、霞ヶ関をどう扱うかという政治の要所だ。

 国家公務員法改正案には、幹部人事の一元管理、幹部降格、内閣人事局、民間人材登用・再就職適性化センター、再就職等監視・適性化委員会などが盛り込まれていた。

 今回問題になった幹部降格の規定どころか、そのほかの規定まで、麻生政権時代の2009年に国会に提出されて衆院解散によって廃案になったものとそっくりだ。

 両者の違いは、内閣人事局の設計に関し、自公政権では総務省・人事院からの機能移管することとなっていたが現政権の案では行わないことになる点と、「センター」の業務が自公政権では天下りあっせんを行うが現政権では行わないとなっている点ぐらいだ。

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