Close up 長野久義
「巨人の新4番、知られざる苦闘」

8月7日の広島戦で顔面に死球を受け左頬骨にヒビが入ったが、6日後の13日には3番センターとして復帰した。小笠原道大(37)がケガで戦線を離脱し、ラミレスや坂本勇人(22)らも本調子でないため、巨人の浮沈は長野の双肩にかかっている〔PHOTO〕村上庄吾(以下同)

「僕が打てば負けない、そんな選手になりたい」---入団2年目で首位打者をひた走る若き主砲が、打撃開眼までの苦難を語った!

 川上哲治、長嶋茂雄、王貞治、松井秀喜・・・・・・。錚々たるバッターが担ってきた読売巨人軍の4番。その「第75代4番」に今シーズン抜擢されたのが、まだ入団2年目の長野久義(26)である。

 これまでの長野は、報道陣に対して「走者を進めるだけです」「出塁できるよう頑張りたいと思います」と、〝無難〟なコメントに終始してきた。だがペナントレース終盤を迎えた9月中旬、東京ドームで話を聞いた彼の口から出てきた言葉は、4番としての自覚が滲むアグレッシブなものだった。

「詰まっても、ボテボテでも、当たり損ないでも何でもいい。とにかく、ヒットが打ちたい。僕が打てば負けない、そんな打者になりたいんです」

 原辰徳監督(53)も、長野に厚い信頼を置いている。7月14日の阪神戦で、前日に死球を受け負傷したラミレス(36)に代わり初めて長野を4番に抜擢すると、ラミレスの復帰後も、たびたび4番に起用しているのだ。だが9月18日からの中日戦でも長野を4番に据えたものの、それからの3試合で11打数1安打と結果を残せずにいると、原監督は報道陣にこう語り奮起を促した。

「長野は、昨年も終盤に成績を残せなかった。このままなら去年と一緒。自分にムチを入れ、力を出してもらいたい」

 こうした監督の期待に応えるように、9月26日現在(成績は以下同)、長野は打率3割7厘でリーグの首位打者を走っている。特に得点圏打率は3割3分と勝負強さを発揮し、満塁では5割7分1厘の高い打率を残しているのだ。