村上もとか 第2回 電車賃にも困った漫画家がいかにしてヒットメーカーになったのか

撮影:立木義浩

第1回はこちらをご覧ください。

シマジ さあ、新しいネスプレッソをどうぞ。

村上 こんどのはずいぶんとスパイシーですね。力強く、目の覚めるような感じもします。一杯ごとにカプセルを変えだけで、こんな違ったフレイバーが気軽に楽しめるというのは便利ですね。

シマジ いまお出ししたネスプレッソはインドリアという種類です。カプセルは全部で16種類あり、わたしは先程飲んだローマとこのインドリアが大好物なんですよ。お帰りに対談のお礼としてネスプレッソ・マシーンとカプセルを差し上げますから、今度仕事のとき、アシスタントの若い人たちに振る舞ってください。

村上 有り難うございます。いいんですか、こんな高価なものをいただいたりして---。

シマジ その代わり、お宅にくる編集者にも飲ませて、この楽しみを教えてあげるといいですよ。あなたもネスプレッソの伝道師になってください。

村上 そうだ。今度結婚する親しい編集者がいるので、これをお祝いに上げようかな。

横尾忠則の激賞

シマジ いいアイデアです。きっと喜ばれますよ。では「jin-仁」の話に戻りましょう。しかし物語がじつによくできていますね。ストーリーはかなり複雑怪奇ですが、読んでいてわかりやすい。村上もとかは天才だと思いました。

村上 いやいや。なんとか橘咲と南方仁を一緒にしなければ、後味が悪いと思ったのです。だから仁友堂の創立者として、橘仁と咲夫人を祭りあげたのです。それを南方仁がパソコンで確認するというストーリーに持っていったんです。

シマジ しかも花魁の野風まで、子孫のフランス人の女医として登場させてくれたのは、読者としてほっとしました。

村上 坂本龍馬の使い方もいいでしょう。

シマジ いい。それから沖田総司の場面で車いすに乗った猫がまたシュールでいいですね。あれはもしかすると現実ではなく、熱にうなされる沖田の幻覚として捉えてもいいですよね。