"流入"から"流出"に変わる一部新興国通貨
ブラジル・レアルやインド・ルピーなど一部の新興国通貨が大きく下落している〔PHOTO〕gettyimages

 今年夏場以降のユーロ圏ソブリンリスクの高まりの影響は、金融市場の様々な分野で顕在化している。その一つに、ブラジル・レアルやインド・ルピーなど一部の新興国通貨が大きく下落していることだ。つい最近まで、新興国ブームの波に乗って、世界の投資資金が成長率の高いブラジルやインドなどに殺到した。その為、ブラジル・レアルやインド・ルピー等の通貨が急上昇し、ブラジルやインドなどの輸出起業には大きな痛手が及ぶことが懸念された。

 その後、ユーロ圏のソブリンリスクが高まり、世界経済や金融市場の先行きに不透明感が増幅すると、大手投資家は、一斉に保有リスク量を軽減する為に手持ちのポジションの手仕舞いに走った。その動きの背景には、「リスクが高い資産の中で、売れるものは何でも売る」という考え方があり、持ち高=ポジション縮小の動きは顕著だった。そのため、ブラジル・レアル等の通貨は大きく売り込まれ、価格が休息の下落する結果となった。

"資本流出"が懸念される一部新興国通貨

 夏場以降の大手投資家の動きによって、世界の投資資金が大挙して、ブラジルやインドなどの一部の新興国から流出すること="資本流出"が懸念されることになった。それまで懸念されていた"資本流入"と、まさしく逆のことを心配することが必要になったのである。それまで、ブラジルなどでは資本規制を実施して、投資資金が国内に流入することを心配していたことを考えると、何と皮肉なことだろう。

 ただ、一度大挙して流れ込んだ投資資金が海外に逃げることになると、その弊害は決して小さくない。まず、国債など一部の債券市場に大きな影響が出ることが考えられる。というのは、海外の投資資金が流入する場合には、その運用対象として国債などを購入することが想定される。投資資金が流入することによって、国債の消化に余裕ができるメリットがある。

 一方、その投資資金が海外に流れだす場合には、購入した国債を売却する可能性が高い。そのケースでは、国債の価格の下落=流通利回りの上昇が想定される。それが現実になると、企業の資金調達コストが上がって、企業収益が圧迫されることになる。それは経済にとって大きなマイナスだ。

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