経済の死角

「カンニングを刑事事件したのはおかしい」なんて的はずれ!京大入試業務妨害事件「犯人逮捕」は間違っていない

玉井克哉東大教授(知的財産法)が緊急寄稿

2011年03月07日(月) 玉井克哉
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 この事件、もともと私はあまり関心もなかったのですが、ツイッター上で金曜の朝にちょっとつぶやいて外出し、夜帰宅したら、フォロワーさんが数百人増えていて、びっくりしました。賛同の意見のほかに、お叱りやら批判やらもいただき、だいたいは個別にお答えしたのですが、講談社の方からお勧めいただいたので、最も気になった論点についてだけ、書いておきます。

 最初にお断りしておかねばならないのは、大学教員として私が入試について見聞したことは何も書けない、ということです。入試業務について何か書く場合、職務上知り得た事項を明らかにすることは許されていません。一般に知られた事実と常識的な推論をもとに書きます。この文章も同じです。京都大学には知り合いもおりますが、その誰かから聞いた、といったこともありません。

 それから、筆者は法学者ではありますが、刑事法を専門にしているわけではないので、プロではありません。知っていることは、法律家としての常識ラインに留まります。身近にプロの方がおられたら、そちらの意見のほうが正しいと思ってください。

 ツイッターでの私のタイムライン上には、「カンニングを犯罪として処罰するのは行き過ぎだ」「こんなことに警察力を使うのはおかしい」という意見が、多く見られます。しかし、これらは的外れです。今回のケースは「ただのカンニングを刑事事件にした」のではなく、「業務妨害の犯人を捕まえたら動機がカンニングだった」というケースだったからです。

 当初は組織的な犯罪の可能性もあった

 少し詳しく説明します。事件が発覚した当初、この件が予備校生の単独犯だなんて、わかっていませんでした。むしろ私のタイムライン上では、内部犯行説や愉快犯説が有力でした。

 実際、入試の会場で受験生が機器を操作すれば目立ちますし、かなり複雑な数式も含まれていたので、会場から手で入力した可能性は低いとみられていました。ではトイレに立って個室で機器を操作したのかと言えば、試験開始後7分という、トイレに立つと非常に目立つ時間帯に送信がなされていたり、試験時間中に頻繁にアクセスが行われてもいたので、これもちょっと想定し難い。

 けっきょく、仮に受験生がやったのだとすると、試験会場でカメラ機能を使って写真に撮り、外部に送信する、外部にいる協力者がネットにアクセスして答えを求める、その結果をさらに受験生に(たとえばトイレに立ったときに)フィード・バックする、という複雑な手口だろうというのが、多くの人の見方だったと思います。

 そして、「なぜ受験生の仕業だと決めつけるのか。ヤフー知恵袋に聞いたところで試験時間内に答えが得られるかどうかわからないのだから、カンニングの手口としては不自然だ」という意見も、出されていました。

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