米国を捨てて中国へ!
太陽光パネル企業の一大決断

ニューヨーク・タイムズ USA

2011年03月21日(月)

 クリーンエネルギー産業を重視する中国政府の政策は、米国企業に移転を迫るほどの影響力を発揮している。

 エバーグリーン・ソーラーは、全米3位のソーラーパネルメーカーだ。マサチューセッツ州から総額4300万ドル(約35億円)に上る助成金と税の控除を得て、2008年に同州デベンズに工場を設立、急成長を遂げてきた。

 だが、そのエバーグリーンが先ごろ、今年3月に米国内の主力工場を閉鎖し、生産拠点を中国内陸部の武漢に設立した合弁会社へ移すと発表した。米国で生産を続けていては、国際競争を戦っていけないというのだ。

 同社のマイケル・エルヒロウ社長によれば、ソーラーパネルの国際価格はこの3年で3分の1にまで下がっており、その背景には、安価な中国製品の存在があるという。

 エバーグリーンのソーラーパネルの原価は08年末には1W当たり3.39ドルだった。同社は、10年末までにそれを1W当たり2ドルまで下げるとの目標を掲げていたが、現実には同年第4四半期の終わりには1.90ドルで販売せざるをえなくなった。なぜなら同じ時期、中国企業はすでに1W当たり1.35ドルでソーラーパネルを製造し、1.60ドルで売っていたからだ。

 中国は、米国などの先進国に比べて人件費が安い。マサチューセッツの工場労働者の平均月収が5400ドルなのに対し、中国では300ドル以下だ。しかも、中国の地方政府などと組めば、豊富な助成金はもちろん、国有銀行からの低利子での貸し付けも容易に受けられる。これが、中国製品が安い理由なのだ。中国製ソーラーパネルの世界シェアは昨年、50%を超え、米国国内のシェアもこの2年で6倍に伸び、23%を占めるまでになっている。

 エバーグリーンも、中国では武漢市や湖北省政府の支援を受け、現地での開業資金の3分の2を4.8%という低利子で借り受けた。しかも、2015年までは元本や利息を返済する必要はないというのだ。

ニューヨーク・タイムズ

 これに対しデベンズの工場を立ち上げる際、エバーグリーンは州政府から2100万ドルの助成金をもらったものの、それは開業資金の5%にしかならなかった。残りの資金は銀行から借り入れたが、金融危機の影響で金利2桁でもなかなか首を縦に振ってもらえず、資金繰りに苦労したという。

 中国によるソーラーパネル産業への支援は、WTO(世界貿易機関)の協定に違反しているとの見かたもあるが、米国はその中国への投資を続けているのが実情だ。
関係者からは、米国政府のソーラーエネルギー産業に対する援助が充分ではないとの批判の声も上がっている。

「これでは、ナイフを手に銃と戦うようなものだ」というのだ。

 

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