井上久男「ニュースの深層」
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ノーベル賞候補たちがこの国を出て行く理由
異端児を育てる「マネジメント能力」
がない日本の大学や研究室

2011年10月06日(木) 井上 久男
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医学生理学賞を贈られることに決まったブルース・ボイトラー氏〔PHOTO〕gettyimages

 10月に入り、ノーベル賞のシーズンになった。日本時間の5日午前の時点で、今年の医学生理学賞は免疫の解明をした研究者に、物理学賞は宇宙の膨張加速を確かめた研究者にそれぞれ贈られることが決まった。

 日本人のノーベル賞候補が話題になるといつも感じることがある。今年は現時点で日本人の受賞者はいないが、ノーベル賞を取る日本人には、日本の大学から出て行った人がかなりいるのはなぜか、という点だ。海外に研究拠点や住居までも移してしまっている。

 たとえば、ノーベル化学賞候補の一人と言われる元日亜化学工業で、現在はカリフォルニア大学バーバラ校教授の中村修二氏も日本を捨てている。筆者は中村氏の講演を聞いたことがあるが、冗談交じりに「日本では産学連携で国立大学の教員が企業と一緒に先端的な研究をしていたら、贈収賄で捕まることもあるかもしれない」と語っていた。

 大学など日本の研究機関は「異端者」を評価しない傾向にある。それ故優秀な研究者は日本に嫌気して、「おさらば」しているのだろう。

「異端者」は率直な物言いをし、周囲と摩擦を起こす。だから「異端者」なのだが、要は日本の研究機関は「うるさいやつ」を嫌うのだ。学会の仲間内で論文を評価し合い、その評価が研究者としての出世につながる傾向が強い閉鎖社会だ。

研究者は指導教官の「かばん持ち」

 研究者の採用にしても、公募制を取る大学や研究拠点は多いが、「談合で事前に採用する人は決まっており、公平という体裁を整えるための形だけの公募に過ぎない」(ある公立大学教授)といった指摘もある。

 しかし、優れた研究成果や発見が生まれる背景には、異質と異質がぶつかり合うことによる摩擦があるケースが多い。古くは、地動説を唱えたガリレオ・ガリレイは、当時の絶対的価値観を支配していたローマカトリック教会の天動説に異を唱えた。

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