経済の死角

浜田宏一イェール大学教授「日銀の政策は"too little,too late"だ」

憂国のインタビュー第2回  聞き手:高橋洋一

2011年03月10日(木)
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第1回はこちらをご覧ください。

浜田: バーナンキは恐慌の専門家の世界的権威と呼んでもいい人ですけど、リーマンショック後、彼が議長を務めるFRBでは大幅にバランスシートを膨らませた。いってみれば、貨幣の供給量を増やしたわけです。

 それから非常に尊敬されたファイナンスの学者・マーヴィン・キングが総裁を務めるイングランド銀行も、アメリカ以上に増やしたんです。

高橋: 欧州中央銀行もそうだった。イギリス同様、非ユーロ圏のスイス、スウェーデンもそうでしたね。

浜田: アジアでは、韓国も金融を大幅に緩和しました。自国通貨も従って下落しました。

 そういう国々ではこの政策が非常に上手くいっていて、少なくともその政策を続けている間は物価の下落を反転させて、不況からもある程度回復させることができた。

 ところが日本だけはそうせずに、「日本は今までの金融秩序が安定しているんだからいいんだ」と主張続けたわけですね。

 まるで白川さんの頭の中は、眼前の花壇である金融業界さえ安定していれば、一般国民がどんなに失業してもかまわないと思っているかのように見えます。教えていたときには、人の苦しみもわかるような学生と思っていたが、失業、倒産の苦しみより日本銀行の組織防衛のほうが重要になってしまったのでしょうか?

高橋: その結果起こったのが極端な円高、それも30%もの円高でしたね。

浜田: 輸出業者は価格が30%上がった商品を売らなくてはならないわけです。もちろん純粋に輸入だけしている企業、あるいは海外生産を徹底しているユニクロのような企業にはメリットがあるでしょう。しかしそのユニクロと競争している国内の小売り業者のことを考えれば、競争相手の仕入れ価格が30%も下がってくるわけですから、これは大変です。

 それなのに日本で民主党の名の通った議員の中にも、「円高になっても輸入を見れば日本経済にプラス面がある」なんて言う人がいるわけです。

 この点については、ハーバード大学のデール・ジョルゲンソン教授が慶応大学の野村浩二准教授と一緒に論文を書いています。

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