浜田宏一イェール大学教授「経済学の現実を無視する菅内閣と日本銀行が国を滅ぼす」  聞き手:高橋洋一「経済学の泰斗」が憂国の提言 第1回 

2011年03月04日(金)
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浜田: 言ってみれば、目の前で横たわっている重篤な患者に、自分が直せる薬を持っているのに、「薬は使うな」と指示する医者ですよね。私は、日銀や政府の政策担当者にはまったく個人的恨みは持っていません。しかしそれが国民生活に波及する効果、弊害を考えると、「人は憎まずとも、その政策の及ぼす帰結を本気で憎まずにはいられない」のです。

高橋: そうです。菅内閣にはさらにとんでもないことを言う人もいるんです。

 菅直人総理は、「増税すれば経済成長をする」と言い、それから枝野幸男官房長官は、「利上げすれば景気回復する」という立場です。もう笑うしかない。

浜田: 新聞の政治面を読むと、永田町ではかつて民主党の政策を批判していた与謝野さんの政治信条が問題視されていますけど、日本国民にとってみれば、君子が豹変することよりも、ちゃんとした医者がちゃんと診療をしてくれる状態と内閣の理解、主張がかけ離れている方がずっと深刻な問題です。

 全く間違った、逆の方向の政策をやろうという人が新内閣の一番重要なポジションに就いている。しかも官房長官はじめ、取り巻きがみんなデフレ賞賛派であるというのはまさに驚くべき布陣ですね。

高橋: 実はそこにもう一人加えなければならない人がいます。前の官房長官の仙谷由人代表代行です。彼は今回、民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」の会長になった。この方も、「需給ギャップがあっても何もするな」ということをはっきりおっしゃった人です。

「経済学200年の積み重ね」を無視する人を集めた内閣

浜田: 経済学というのは、これでも200年以上の歴史がある学問です。その中でいろいろ試行錯誤をしつつ事実を観測しながら、それを整合的に説明しようと考えてきた。

 経済学の場合には全部を実験して確かめるわけにはいきませんから、生理学的側面は、ある程度、秩序立てて予測しながら業績を積み重ねてきました。そうした中で、「どこに水を流せばどこに水が流れる」とか、「この場合はこの薬を使えば熱が下がる」とか、いったことでは分かってきたことも多い。それなのに、今挙げたような方々は、その積み重ねをまったく理解していないどころか、反対のことをしようとしているわけです。

 経済学は精密科学ではないので、自然科学のようにパッと予測するとか、制御に関してはまだ曖昧な面があるということは認めます。それでも200年ほどいろんな人が事実を積み重ねつつ、考えてやってきた。

 その現実をまったく無視するアイデアに取り込まれや人ばかりを集めて一つの内閣を作ったというのは、まあ見事と言えば見事ですね。国民にとっては非常に恐ろしいことですが。

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