2011.10.18(Tue) 万年野党事務局

3年間で営農再開可能な状態目指す 農水省
[被災農地]塩分、放射能の除去に膨大なコストと労力

筆者プロフィール&コラム概要
津波の被害を受けた水田を除塩するためにしろかきを行っていた=仙台市若林区で5月19日

 農業は土地がなくては営めない。その貴重な資源である農地が、東日本大震災とそれに伴う福島第1原発事故で大きな被害をこうむった。農林水産省はおおむね3年間で営農を再開できる状態に戻すという目標を掲げているが、放射性物質に汚染された農地の除染など困難な課題は多く、被災地の農業が震災前の状況を取り戻せる時期の確かな見通しは立っていないのが実情だ。

 東日本大震災による農地被害の大半は津波による冠水と土砂、がれきなどの流入だった。

 農水省が人工衛星から撮影された画像を基に、その時点で推計した津波の被害農地面積は約2万3600ヘクタール。耕地面積全体に対する割合は宮城県で11%、福島県で4%、岩手県で1・2%に上った。宮城県南部の七ケ浜町では90%を超え、亘理、山元の両町でもそれぞれ80%近くに達している。

 もちろん、被害は海水やがれきの流入だけではない。営農に欠かせない用排水施設が壊れたり、水田の畦が崩れたりしたケースもある。下流の水路が土砂などで詰まれば、上流の水路が無事でも水を流せなくなる。水があふれて2次災害を招く恐れがあるからだ。内陸部でも農地の地割れなどの被害は少なくない。

 原発から放出された放射性物資による汚染も深刻だ。同省は土壌に含まれる放射性セシウムの量が1キロ当たり5000ベクレルを超えた農地についてはコメの作付けを制限(事実上は禁止)した。原発事故を受けて設定された警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域に含まれる福島県の12市町村の全部または一部で、その推計面積は(津波被害とも重複するが)計8300ヘクタールとされている。

 津波被害については、まず流入した海水やがれき、ヘドロなどの除去が欠かせないことは言うまでもない。その上で、作物の生育の妨げとなる土壌中の塩分を除去(除塩)することが必要だ。

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