復興財源にたばこ増税が浮上
[財源]「健康のため」小宮山厚労相が値上げ主張

閣議に臨む小宮山洋子厚生労働相(左)=首相官邸で9月6日

 小宮山洋子厚生労働相が「たばこ税を引き上げて1箱700円程度にすべきだ」と発言し物議を醸した。これに対し、安住淳財務相は「全く念頭にない。所管は私だ」と不快感を示したが、健康増進の観点から反対しづらいたばこ税の引き上げは、東日本大震災の復興財源の有力な検討項目にも挙げられている。

 日本たばこ産業(JT)は「たばこの担税力は限界。増税しても税収は減る」と反対の姿勢を強めているが、愛煙家にとっては昨年10月の値上げに続き、厳しい秋を迎えそうだ。

 超党派の国会議員でつくる禁煙推進議員連盟の事務局長だったこともある小宮山厚労相は就任間もない9月5日の記者会見で、たばこ税について「毎年一定額上げていくべきだ。世界平均は600円台。日本は価格が安い。3年程度をかけ700円台まではたどりつきたい。

 徐々に上げれば700円までは税収は減らない。未成年の喫煙防止にはこれが一番効果的だ」などと述べ、健康を守るためにたばこ税の引き上げが必要との持論を繰り広げた。さらに財務省所管のたばこ事業法についても「(財源確保目的の法律ではなく)健康の法律として厚労省が持てるようになればよい」と問題提起した。

 たばこ税は昨年10月に1本当たり3・5円引き上げられ、現在のたばこ価格は主要銘柄のマイルドセブンで1箱(20本入り)410円となっている。値上げ幅は36・7%。これがセブンスターでは46・7%の値上げで1箱440円となった。たばこ税の引き上げは06年と03年にも実施されているが、この時は1本1円の値上げだったため、1箱30~20円程度の値上げにとどまっていた。

 この小宮山発言に対し、安住財務相は「ご高説は承ったが、所管は私。たばこ税の引き上げは全く念頭にない」と税収減につながりかねないだけに強い不快感を示していた。これに対し、小宮山厚労相は「(たばこ税を)どこまで上げるかは財務省の所管。私が決めるわけではない」と一応矛を納める形を取ったが、「(たばこの価格引き上げは)個人的意見ではなく、昨年の政府税制調査会でも厚労省が申し述べている」と述べ、年末の税制改正作業に向けたばこ税の引き上げを求めていく考えを改めて示した。

 一件落着したかに見えた小宮山発言だったが、9月下旬になり11・2兆円の増税が必要とされる東日本大震災の復興財源の一部に、たばこ税増税を充てるべきだとの声が民主党内から出てきた。復興財源には所得税の10年間の臨時増税と法人税減税の3年間の凍結分を充てることを中心に検討されているが、所得税の負担増を抑えるため、たばこ税を1本当たり2円増税する案が候補に上ってきたのだ。民主党税調での審議では、たばこ増税には比較的歓迎する意見が強いという。

 この与党内の動きにたばこ各社は大反発している。JTの志水雅一副社長は「昨年の増税後、たばこの売り上げ減は加速しており、財源にふさわしい商品ではなくなっている。たばこの担税力は限界にきており、増税しても税収は減ってしまう」と述べ、特定の商品を狙い打つたばこ増税には税の公平性の観点からも問題としている。