田崎史郎「ニュースの深層」
カテゴリーアイコン

「マイナスの失業率」「子供手当にびっくり」その発言から菅首相の適格性を疑う

言葉こそも政治家の武器であり、生命線だが

2011年02月28日(月) 田崎 史郎
upperline
  政策についての勉強をしてこなかったのか        PHOTO: gettey images

「菅さんは予算関連法案が年度内に成立しない場合でも退陣しない。辞める気持ちはさらさらないよ」

「そもそも、首相をころころ代えて国益にかなうのか。内閣支持率が1%になっても辞める必要はない」

 民主党内で退陣論が噴出しているのに、首相周辺や党中枢部ではこんな声が根強い。中には「安倍、福田、麻生政権も10カ月ぐらい経つとこんな状況になっていた。それで辞めさせていて、いいのか。マスコミもいいかげん、こんなことはやめにした方が良い」と、マスコミを批判する党幹部もいる。

 だが、菅直人は首相にふさわしい人物なのか。菅の言葉を通して考えてみたい。

 菅は2月21日の衆院予算委員会集中審議に意気込んで臨んだ。前週に首相退陣と引き替えに予算関連法案への賛成を取り付けようとする動きが表面化したのに対して、退陣論を一蹴しようとした。質問のトップバッターは与党なのだから軽く受け流すこともできたが、菅は力を込めて実績を強調した。その声には確かに張りがあった。

 「今、ヤジで『全然良くなっていない』という声があったが、この数字を見ていただければ結果ははっきりしている。2009年の実質経済成長がマイナス6.3であったのに対して、2010年の実質経済成長はプラス3.9だ。また、失業率はマイナス5.3であった09年に比べて、5%を切り4.9%まで低下した。これは客観的数字だ」

 この発言に致命的な間違いがある。読者諸兄はおわかりだろうが、失業率は労働力人口に占める失業者数を示す割合だ。マイナスになるはずがない。手元の紙を読んでいるのに、こんな間違いを犯す。紙を読まない時は、もっと危ない。

 24日の衆院本会議で、社民党政審会長・阿部知子の質問に、民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)で子ども手当の支給額を月2万6000円としたことについて菅はこう言った。テレビ画面を見ていると、発言の瞬間、答弁書から目を離した。

「私もこの議論がなされている小沢(一郎)代表の当時、『2万6000円』と聞いたときに一瞬ちょっとびっくりしたことを覚えている」

 マニフェストのいい加減さを暗に認め、かつ小沢に罪をなすりつけるような言い回しだ。子ども手当法案の成立が危ぶまれているときに、こんな発言をされてはこちらがびっくりする。

「許し難い暴挙だ」-。菅が2月7日の「北方領土返還要求全国大会」でのあいさつで、ロシア大統領・メドベージェフの国後島訪問をこう非難したのも実は、アドリブだった。外務省が事前に準備したあいさつ文から一瞬目を離した。これにロシアが反発し、発言直後の外相・前原誠司の訪ロは台無しになった。

次ページ  知り合いの外務官僚はこう言っ…
1 2 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事