グーグルのトップ交代は何を意味するのか(2)
フェースブックに挑むことの難しさ

 今年1月、グーグルのエリック・シュミット氏は「数ヶ月後に最高経営責任者(CEO)の座をラリー・ページ氏(共同設立者)に引き継ぐ」と発表した。この突然のトップ交代が何を意味し、グーグルはどこに向かってゆくのか---米国では大きな話題となっている。

 前回は、グーグルが容赦なくマイクロソフトを叩いた"Bing模倣騒ぎ"を取り上げ、グーグルが検索サービスで『守りの経営』に入った状況を示した。グーグルは検索エンジンだけでなく、クラウド・アプリケーションでもマイクロソフトにプレッシャーをかけ続けており、そこでも守りの姿勢が見え隠れする。

シュミットCEOの使命は終わったのか

 米国のネット広告は順調な回復基調にあり、グーグルの業績は順風満帆ともいえる。にもかかわらず、同社のトップ交代は"なんの前触れもなく"発表された。これを受け、米国では様々な憶測が飛び交っている。

 シリコンバレーでは、創業者コンビ(ラリー・ページ氏とセルゲイ・ブリン氏)とシュミット氏の間が以前ほど親密ではないと噂されてきた。しかし、シュミット氏の経営は手堅く、トップ間のすきま風がCEO交代の理由とは思えない。一方、多くの憶測記事は、シュミット氏の限界説を暗に臭わせている。

 2001年春、シュミット氏はグーグルにやってきた。その頃の同社は、組織もビジョンも確立されていなかった。インターネットへの深い知識と冷徹な経営手腕を持つ同氏は、幼いベンチャーを10年の歳月を掛けてトップ企業に育て上げた。しかし、彼の使命はそろそろ終わりに近づいているのかもしれない。

 最近のグーグルは、新たな成長分野が見い出せない一方、前回のBing模倣騒ぎで述べたように"守りの経営"が目立っている。独占禁止法の懸念からオンライン広告での成長を追求しにくい同社は、新聞やテレビ広告などの非オンライン広告分野を模索している。たとえば、昨年末から米国で販売を開始したOTT-STB*1 『Google TV』は、大手テレビ局や番組制作会社との摩擦から低迷を続けている。

 一方、多額の投資をしているクラウド・アプリケーション(Google Apps*2)も、伸び悩んでいる。グーグルはセールスフォース・ドット・コム社やベライゾン社などと提携戦略*3 を展開し、法人マーケットへの浸透をはかる一方、同分野への開発投資を削減している。

 このようにグーグルの経営は安定感を増す一方、停滞感も広がっている。そのため投資家の間では、トップ交代による経営刷新を期待する声が徐々に高まっていた。シュミット氏は、そうした雰囲気を敏感に感じていたのだろう。ラリー・ページ氏も大きく成長し、そろそろ「肩の荷を下ろしたい」と思ったのかもしれない。真相は分からないが、ページ氏の登場によりグーグルは新たな挑戦を始めると期待されている。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら