猪瀬直樹氏×田原総一郎 第2回 
「アメリカ兵に守られたディズニーランド」としての日本は崩壊した

「言葉の力」ついて考える

vol.1はこちらをご覧ください。

田原: 実は、みんなが思っている猪瀬さんへの疑問がある。僕はないのよ。敢えてその疑問ぶつけると、猪瀬さん作家なんだよね、作家っていうのは間違ってもね副知事やらないんだよ、損だから。知事なんかやる人もだいたい作家として命が終わった人よ、いまの東京知事もね。タレントだって政治家になるときは命終わった人なの。だけどこの人は作家と副知事という、およそ交わらないものを交わってる。なんで?

猪瀬: だから、今度このプロジェクトを作ったんだよね、『言葉の力』(中公新書)。プレゼンテーションの技術がなければ役人の説明・・・、東電とか原子力保安院の説明ってどうしようもないでしょ。プレゼンテーションの技術を作ろうと。

 で、今回の新入職員、1千人くらいいるんだけど全員言語力の研修義務づけた。いま東京の小中学校でモデル校作って、70校くらいかな、言語力教育といろいろやるのね。結局自分の言葉で説明できなきゃダメなんです。、それにはファクト、事実をきちんとエビデンス、根拠を上げて説明すると。日本人は「サッカー好き?」、「ん、ビミョー」とか「フツー」とかさ、そういう会話で転がってっちゃう。それを根拠を持って示していくと必ず事実は共有していくわけですよ。

 原子力発電もいいか悪いかでぶつかり合うとキリがないわけだけど、ここまではこうだよねと確認していくと確定していく部分はある。まあ、原子力発電の場合難しいところがあるけど、少なくとも当面の電力をどういうふうに解決するかとか、確定していけるところは確定していくっていうのは事実を出していくっていうことですよね。

コミュニケーションはサッカーだ

田原: そこを今日聞きたいから、この本(『言葉の力』)をわざわざ持ってきたの。かつて出井(伸之)さんというソニーの会長がいた。彼に経営ってなんだって聞いたらね、一つがサイエンスだと、技術者は全部サイエンスだと。ただ経営者はサイエンスとアート、これを組み合わせるんだと。つまり役人はサイエンスなんだね、技術っていうのは。だから技術と技術を組み合わせる言葉がいるんだね。ここをもう少し説明して。

猪瀬: 難しいけどね。

田原: すごく難しい話。

猪瀬: 基本的な説明の技法ってあるわけですね。例えばわれわれがものを書くときに、こういう人はこういうことを言って、こういう人はこういうことを言った、ということをきちっと正確に説明していきますね。

 この部屋を説明しろって言ったときに、日本人は割りとここにあれがあって、これがあって、こっちにこれがあってって説明するから訳が分からない。欧米の技術では当たり前の、スポーツと同じでどうやって言うか決めてあるんだね、時計回りに説明しなさいとか。そうすると部屋の位置関係が全部分かるわけ。それは技術なんだ。

 誰がなにを言ってる、次にAに対してBはこう言ってる、その根拠はなんだと。Cはこう言ってる、するとAはそれに対してこう言ったという説明の仕方をしているでしょ。だから根拠をあげて事実で説明するというのは割りと日本人は苦手なんだね。

田原: 苦手。

猪瀬: 感想を述べちゃったり、「と思う」とか、形容詞で説明しちゃったりするわけで、それだと多分肌の色とか目の色とか、身長とか体重とかみんな違ういろんな人種が混ざっている国では説明できないと思う。けれども、日本人はなんとなく阿吽の呼吸で説明できたと勘違いしちゃってるからね。そうじゃなくてやっぱり技術とか、共通する物差しを出していかないと多分コミュニケーションてのはできないはずなの。

田原: そこなの、「共通の物差し」ていうやつ。どうやって「共通の物差し」を作ればいいの? みんな文化が違うと物差しが違うわけだ、それぞれが。それぞれのまったく違う物差しでバラバラに話しているんじゃ、コミュニケーションも成立しないしプロジェクトも成立しないと。

猪瀬: 簡単ですよ、サッカーですから。

田原: どういうこと?

猪瀬: 世界中の国々が文化が違ってやり方も全部違うわけだけど、サッカーのルールは一つですね。つまりパスしてゴールに入れればいいわけですね、上手に。サッカーのルールは非常にシンプルですね。シンプルだけど厳しいですね、手を使っちゃいけないとか。そういうルールをきちんと、われわれの会話とかプレゼンテーション、説明責任の中に組み込めばいいわけです。

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