歳川隆雄「ニュースの深層」
カテゴリーアイコン

原子力損害賠償支援機構が業務を開始
経済界は黒子に徹する仙谷氏の今後の言動に注目

2011年10月01日(土) 歳川 隆雄
upperline
東京電力福島第一原子力発電所〔PHOTO〕gettyimages

 9月26日、東京・虎ノ門の旧日本貿易機構(JETRO)ビル内にオフィスを構える原子力損害賠償支援機構(NDF・杉山武彦理事長)が業務を始めた。東京電力福島第一原子力発電所事故の賠償支援を目的とするNDFは、政府が70億円、東京電力など電力業界12社が70億円の資本金を払い込み、トータル140億円で発足した。

 原発事故の被害者に総額4兆5000億円に達する賠償金を支払う東電に対し、資金繰りを支えることが第一義である。電力業界が払う負担金や政府の発行する交付国債を原資に、東電に資金を提供する。

 東京電力の経営状況を調べている政府が設置した「東電に関する経営・財務調査委員会」(委員長・下河辺和彦弁護士。通称『第三者委員会』)の試算によれば、政府避難指示による損害約1兆9000億円、風評被害による損害約1兆3000億円、取引先の被害による間接被害約1兆3000億円である。

 先ずは、NDFの組織と陣立てを見てみる。理事長に前一橋大学学長の杉山氏(専攻・交通経済学=67歳)が就任。企業の取締役に相当する理事には、野田健あいおいニッセイ同和損害保険社外監査役(前内閣危機管理監・元警視総監=1967年警察庁入庁)、振角秀行財務総合政策研究所長(前財務省官房政策評価審議官・元金融庁総務企画局参事官=77年旧大蔵省)、嶋田隆内閣府原子力損害賠償支援機構担当室次長(前与謝野馨経済財政相政務秘書官・元経済産業省官房総務課長=82年旧通産省)、弁護士の丸島俊介前日弁連事務総長(60歳・78年東京弁護士会入会)が選任された。委員は理事長を含め5人。

 丸島氏が日弁連事務総長だった08年3月~10年3月の2年間、実は第三者委員会の下河辺委員長は日弁連副会長であった。そして、東電の今後10年間の資金繰りを分析するに当たって同社の財務内容を精査するために発足した第三者委員会は、3月11日の東日本大震災後、当時の菅直人首相の強い要請によって官房副長官(政務担当)として官邸に復帰した仙谷由人現民主党政調会長代行主導で発足した。換言すれば、同委員会及び原子力損害賠償支援機構は仙谷イニシアチブによって設立したものだ。

 特に経産官僚出身の嶋田氏は、与謝野前経済財政相が歴任した通産相、官房長官、財務・金融相の4大臣すべての大臣秘書官を務めた政策職人・与謝野氏の最側近とされた人物。そして、それこそ与謝野氏が命を賭けて取りまとめた税と社会保障の一体改革成案についても、党代表代行兼官房副長官だった仙谷氏が全力で支えたことから、与謝野氏の仙谷氏に対する信頼は絶大なものがあった。従って、広い意味で嶋田NDF事務局長・委員は仙谷人脈である。

次ページ  東大工学部卒業でありながら事…
1 2 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事