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新聞,テレビはビビッて報じない
どじょう野田を操る"本当の総理"
勝栄二郎の正体

週刊現代 プロフィール
どじょうはどこまで行ってもどじょうなのだ。うなぎにはなれないのだ〔PHOTO〕gettyimages

 国民が知らぬ間に、この国は乗っ取られていた。「正心誠意」は勝海舟の言葉なり

 泥沼のような民主党から財務省が掬い上げた1匹のどじょうは、2年の間に肥え太り、食べごろとなった。大物次官の最後の仕上げは、「増税色」に染まったこのどじょうを国民に踊り食いさせることだ。

国を動かすのは野田じゃない

「野田政権は、財務省に完全に支配されている。真の総理は野田佳彦ではなく、その背後にいる勝栄二郎事務次官である」

 いまや永田町と霞が関の共通認識になりつつある、その事実を如実に物語っているのが、9月13日に野田が衆院本会議で行った所信表明演説の一節だ。

「政治に求められるのは、いつの世も『正心誠意』の4文字があるのみです」

 野田が演説で繰り返した「正心誠意」という言葉は、もともとの原稿では通常の「誠心誠意」だったという。ところが野田は、「これは『正心』のほうがいい」と言って、自ら原稿に手を入れて修正した。

 この「正心誠意」は、幕末から明治維新の激動期を生き抜いた「最後の幕臣」勝海舟の語録『氷川清話』に収録されている言葉だ。野田は歴史小説ファンとして知られ、勝海舟が政治の要諦として語った「正心誠意」を、あえて自らの所信表明演説で使ったかに見えた。

 だが、これは政官関係者を驚愕させた。

「勝事務次官は、『勝海舟の末裔』と言われています。野田首相は、わざわざ原稿を手直ししてまで、勝海舟の『正心誠意』という言葉を演説にはめ込んだ。官邸内では、『そこまでして勝事務次官と財務省に媚を売るのか』と、衝撃を受けたスタッフも多かったのです」(官邸関係者)

 実は、勝次官が海舟の末裔かどうかは定かではない。本人も、メディアの取材に対し「違う」と否定したことがある。ただし、「あえて大っぴらに否定してはこなかった」(財務省関係者)ため、「海舟の末裔伝説」は、いまだ一人歩きしている。

 野田はあえて、あの所信演説をすることによって、勝に対してはっきりと「私はあなたとともに歩みます」と熱烈ラブコールを送ったのだ。

 では何を一緒にやるというのか。勝は財務省の意思を体現する主計畑のスーパーエリートだ。そして、財務省の長年の悲願と言えば、「消費税の増税」に他ならない。

 みんなの党・江田憲司幹事長はこう語る。

「財政再建だとか理由をつけていますが、財務省がなぜ増税をしたがるかと言えば、自分たちが差配できるおカネを増やし、かつての栄華を取り戻したい、というのが理由です。

 財務省は旧大蔵省の時代から国家権力そのものであり、国を動かすのは自分たちだという自負が非常に強かった。何しろ、憲法上は内閣に権限がある予算編成すら、自分たちの権限だと言い張っているくらいです。

 私は橋本龍太郎内閣で、旧大蔵省から金融行政を分離させる財金分離などの行革に携わりましたが、当時、為替資金課長の身ながら、水面下で大蔵省の組織を守るために動いていたのが、勝さんでした」

 勝栄二郎、61歳。「最後の大物次官」と呼ばれ、財務省にとっては切り札的な存在だ。

 勝は'75年に旧大蔵省に入省し、選りすぐりのエリートが集まる財務省の中でも、さらにエリート中のエリートの証である、主計局畑を長く歩んできた。

 '97年に主計局公共事業担当主計官、'98年に主計局主計官兼主計局総務課、'00年には官房文書課長。'02年に主計局次長となり、'07年に理財局長、'08年に官房長、'09年には主計局長と順調に階段を上り続け、昨年7月、ついに満を持して事務次官に就任した。

 趣味はサッカーで、旧大蔵省時代に省内サッカー部を創設したという。イングランドのプレミアリーグとドイツのブンデスリーガの大ファンで、大きな試合の際には深夜までテレビに齧り付くことも。世界一となったなでしこジャパンに国民栄誉賞が贈られたのは、サッカー好きの勝氏のプッシュがあったからだ、と霞が関では噂されている。

 4歳から高校1年生になるまでの少年時代を、ドイツで送ったため、「勝さんは、日本語よりドイツ語のほうが上手い」というジョークが財務省内にはある。実際、会議などでも発言は少なく、たとえしゃべってもボソボソとした話し方のため、部下たちは勝が何を言っているのか、聞き取るのに必死にならざるを得ない。そしてそれが「得体の知れなさ」に繋がり、勝への畏怖心が醸成される原因にもなっている。

 恰幅の良い、温厚で篤実そうな風貌。公の場では笑顔を絶やさず、聞き上手でもあり、特に政治家に「勝好き」が多い。

 かつて、政府が景気浮揚のための財政出動をしようとした際、主計局長だった勝がクビを縦にふらず、業を煮やした亀井静香金融担当相(当時)が、「勝のクビを切れ!」と当たり散らしたこともあった。

 その亀井ですら、周囲にこう語っている。

「よく勝を呼びつけて怒鳴りつけるんだが、あいつは呼べばすぐにやってくる。可愛げがあるんだよ」

 だが、勝とは果たして、〝可愛い〟などという表現で済まされるような、生ぬるい官僚なのか。旧大蔵省出身の民主党・田村謙治代議士は、笑顔の裏に隠された、勝の表向きとは違った強面の一面をこう評する。

「勝さんは、自分の気に入らない人材は全部、飛ばす。たとえば勝さんは最低3年は次官を務めると言われていますが、そのために、自分の1期下、2期下のエース候補は全部潰してきた。いまの財務省の幹部たちは、みな勝さんのお眼鏡にかなった、〝勝帝国〟の子分たちなんですよ」

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