「売れるものは何でも売れ」ーー"金"さえも売られる「リスクオフ」の流れが市場では始まっている
〔PHOTO〕gettyimages

 日本にいるとそれ程の危機感はないのだが、ユーロ圏のソブリンリスクの問題は、今後の展開次第では1930年の大恐慌のような事態を招くことも懸念される。それほど大きな問題が、今、実際に起きているのである。そうした事態の発生を期待しているわけではない。もちろん、「大変だ!」と騒ぎ立てるつもりはない。しかし、そこに存在するリスクを過小評価することは適切ではない。

 大手投資家の多く、特にヘッジファンドなど短期のオペレーションが主流の投資家は、そうしたリスクに対応するため、できる限り保有するリスク量を減らすオペレーションを実行しているようだ。そのオペレーションの一つの現象は、最も信用力の高い"金"価格の下落だ。あるファンドマネジャーは、「今は売れるものは、何でも売る」と指摘していた。

 金価格の下落の背景には、世界的な景気減速によるインフレ懸念がやや後退していることがある。しかし、それだけで、恐ろしく価格の振れが拡大している金の相場動向を説明することは難しい。明らかに、大手投資家のポジション調整が影響しているはずだ。重要なポイントは、われわれも、そうしたリスクに対して、しっかりした認識を持つことだ。それがないと、多額の損失を被ることにもなりかねない。

高い"価格変動性(ボラティリティー)"は収益・損失の源泉

 私は、「リスクが高いから投資を行うべきではない」と言っているのではない。金融商品の価格が乱高下して"価格変動性"が高まるということは、それだけ儲けられるチャンスが存在することを意味する。一方、上手く相場に乗れないと、多額の損失を被ることにもなりかねない。要するに、ボラティリティーの上昇は、利益の源泉でもあると同時に、損失を被る原因にもなるということだ。

 だから、「リスクを取って沢山儲けたい」という人は、このチャンスを大いに生かすことが合理的な選択肢と言える。逆に、「あまりリスクを取りたくない」という人は、様子見を決め込むことも有効な選択肢の一つになる。ポイントは、潜在的に大きなリスクが存在することを適切に認識することが大切なのである。

 それができれば、後は、「リスクに見合ったリターンを得られる」と判断すれば、このチャンスを上手く使うことを考えればよい。一方、「リスクが大きすぎて、相応のリターンを得ることが難しい」と思えば、リスクが低下する局面を待てばよい。一つ言えることは、「今、ひょっとすると、世の中が引っくり返るかもしれないリスクがある」ということを頭に入れていれておくことだ。

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