30年来の好景気を謳歌する豪州経済の
「アキレス腱」

フィナンシャル・タイムズ(UK)より
AUSTRALIA

2011年10月02日(日) クーリエ
〔PHOTO〕gettyimages
オーストラリアの輸出相手国の内訳

 世界的な資源ブームのおかげで活況に沸くオーストラリア。しかし、経済の先行きには不安材料も少なくないという。

 不況からの出口が見えない世界経済。そんななかで、オーストラリア経済は相変わらず好調だ。同国の景気は過去30年という長期にわたって拡大。失業率は5%と欧米の半分くらいの水準だし、財政赤字はGDPの6%程度で、2年以内には黒字に転換する見込みだという。

 好調の理由は、空前の資源ブームだ。同国で産出される鉄鉱や石炭、天然ガスを、世界第2位の経済大国・中国の旺盛な需要が買い支えている。英豪系資源大手BHPビリトンは8月、純利益が前年比86%増で過去最高の236億ドル(約1兆8000億円)に達したと発表した。

 日の出の勢いに見えるオーストラリア経済だが、その先行きには不安が広がっているという。資源国の通貨が買われ、豪ドルは記録的な高値にある。当然、製造業や農業など輸出産業へのダメージは大きく、また観光業も客不足に悩まされている。

フィナンシャル・タイムズ(UK)より

 8月には同国の鉄鋼大手ブルースコープが、通貨高などにともなう採算悪化で製鉄所の一つを閉鎖すると発表し、衝撃が広がった。本来、資源ブームの恩恵を受けているはずの企業までが業績悪化に苦しんでいるのだ。

 中国経済への過度の依存も問題視されている。対中国輸出は年々増加し、現在ではオーストラリアの全輸出額の26%を中国が占めるようになっている。ひとたび中国バブルがはじければ、そのダメージをまともに受けることになる。また、中国共産党がいつなんどき方針転換して、輸入相手国をほかの国に切り替えないとも限らない。

 さらに資源ブームに甘んじて、政治・経済改革が進んでいないことを批判する声も出ている。オーストラリアが競争力やイノベーション力の世界ランキングでいつも低位にいるのはそのためだというのだ。

COURRiER Japon

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