菅内閣「醜い内部抗争」の行き着く先は「浅間山荘」
解散・総選挙で国民に信を問うべき
〔PHOTO〕gettyimages

 最近の世論調査では、菅内閣の支持率が20%を割って、10%台になってきている。まさに、赤信号が灯ったと言ってよい。

 支持率急低下の原因はいろいろ考えられるが、まずは、党内から16人の国会議員が会派離脱届けを出して、大きな衝撃を与えたことが響いている。彼らは、全員比例区選出議員で、民主党が逆風を受ければ再選は覚束ない。だから、マニフェストに戻れと声高に主張しているのである。

 この背後には、小沢一郎氏がいることは明白である。小沢氏の国会招致問題について、いつまでも結論を出すことができない党執行部に対して、国民はあきれかえっている。その最中に、党の分裂状態が目立つ事態が起こったのである。この小沢チルドレンたちは、予算案及び関連法案の採決に際して、造反することもありうると明言している。

 法案を通すには、参議院でも多数派を確保するか、衆議院での3分の2の多数で再可決するしかない。前者は、公明党が対抗姿勢を強めているので不可能である。後者の戦略も、鳩山由紀夫前首相の「抑止力は方便」という軽率な発言で、社民党をますます敵陣に追い込むことになった。消費税増税、法人税減税なども社民党の方針とは相容れない。もはや、予算関連法案は成立が難しくなっている。

世界が激動する2012年に備えよ

 貧すれば鈍する。執行部内から、菅首相退陣の見返りに予算を成立させてもらうという取引の提案が野党に行われたという報道がある。具体的には、仙谷氏が公明党の幹部にもちかけたという。この報道が事実とすれば、民主党は内部崩壊していると言わざるをえない。

 小沢外しで支持率を上げる戦略は、もはや功を奏しない。民主党内の権力闘争は、まずは執行部対小沢グループという形をとり、次いで、執行部内での内ゲバが始まっている。菅、仙谷、鳩山兄弟、それに私は、皆、団塊の世代に属するが、大学紛争のときの左翼内部の醜い仲間争いを思い出させる不快な光景である。行き着く先は浅間山荘であり、自己批判、総括といった正義を掲げた独善主義で孤立し、国民から見離されていく。

 世界に目を転じれば、中東諸国では民主化を求める動きが広まっている。チュニジア、エジプトの民衆革命は他の諸国にも拡大する可能性がある。それは、中東にとどまらず、たとえば中国にも深刻な影響を与えそうである。世界は、大きく変わろうとしている。

 そして、来年の2012年には、中国、フランス、アメリカなどで、指導者の交代の可能性がある。それを見越して、日本としても今から様々な準備をしておく必要性がある。ところが、日本の政治は混沌としており、世界の動きに注目するゆとりすらない状態である。TPPの議論をすることすらむなしくなってしまう。

 予算案は、来週にでも衆議院から参議院に送付される。しかし、参議院では与野党が逆転している。このねじれ国会を乗り切るには、与野党間で最低限の信頼関係がなければならない。ところが、与野党間どころか、政権党である民主党内部で分裂状態であり、とても一致団結できるような状況ではない。

 3月末には統一地方選挙が始まる。まさに、与野党間での戦であり、民主党は大惨敗を喫することはほぼ間違いなかろう。そして、その責任は菅首相がとらねばならない。後任には、前原氏、岡田氏、野田氏などの名があがっているが、彼らは今の執行部であり、それなりに責任がある。菅首相がすんなりと内閣総辞職に応じるのか。それとも解散総選挙に踏み切るのか、まだ分からない。菅首相は解散という脅しをかけてきているが、総選挙をやれば民主党が負け、政権を手放すことになる可能性が高い。

 しかし、野党第一党の自民党も、単独で過半数というわけにはいくまい。したがって、大連立や救国内閣といった知恵を働かせなければなるまい。民主党の支持母体である連合も、もはや菅首相を支持していない。しかし、どうすればこの閉塞状態を打破できるのか。話し合いの連立組み替え程度では、与謝野入閣とあまり変わらないことになりかねない。やはり、解散総選挙で国民の信を問うべきではないか。現状を変えるきっかけは、それしか無いように思う。
 

現代ビジネスブック 第1弾
田原 総一朗
『Twitterの神々 新聞・テレビの時代は終わった』
(講談社刊、税込み1,575円)
発売中

amazonこちらをご覧ください。

楽天ブックスこちらをご覧ください。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら