雑誌
84億円借金大王製紙創業者の孫・井川意高氏
「47歳ボンボン会長の放蕩人生」

「エリエール・レディスにお気に入りの選手を
ゴリ押し」の証言も
渋谷区広尾の一等地に建つ井川氏の自宅豪邸。話を聞こうとチャイムを鳴らしたが応答はまったくなかった〔PHOTO〕本多治季

「仕事に関しては真面目な人ですよ。ただ、プライベートとなると、とにかくカネ遣いが荒い。マカオなどでカジノに夢中になって、億単位のカネで遊んでいたようです。かなり負けが込んでいたとも聞いています」(全国紙社会部記者)

 大手製紙会社の創業者の孫が、天文学的な額のカネを関連会社から掻き集めるという前代未聞のスキャンダルが発覚した。その心根は、決して自社製品のティッシュのように純白ではなかった---。

 9月16日、総合製紙メーカー国内3位で主力製品に「エリエール」などがある大王製紙の井川意高会長(47)が、グループ企業から約84億円を個人名義で借り入れ、約50億円が未返済であることが明らかになった。同日、佐光正義社長(55)は記者会見で、井川氏が会長職を辞したことを発表している。

 同社長によると、井川氏は社長時代の'10年4月から今年3月の間に23億5000万円を、今年4月から会長就任後の9月にかけて約60億円を、7つの連結子会社から借り入れていた。子会社からの告発メールで事実が発覚したのだ。井川氏と家族らは、時価50億円以上の株式などを同社に提供することで、弁済に充てるとしている。

 84億円という額は大王製紙グループの今年度の純利益予想30億円の3倍近くにもなるが、同社は井川氏の借り入れ目的を把握していないという。佐光社長は会見で「多額で理由がはっきりしない貸し付けは問題」と述べ、必要があれば井川氏への刑事告訴を検討する考えを示している。弁護士らで構成される特別調査委員会を設置し、事態の解明を急ぐという。

 大王製紙は'41年に愛媛県で創業した「四国紙業」を源流として、'43年に製紙14社が合併して生まれたメーカーだ。ともに売上高1兆円超の「日本製紙グループ」と「王子製紙」の〝2強〟に次ぐ規模を誇る。'11年3月期の売上高は連結決算で約4100億円。だが、同期の最終損益では'79年の株式店頭公開以来、初の赤字を計上している(マイナス約60億円)。今回の事件はまさに、逆風下の不祥事だったわけである。

遣い道は「今は言えない」

 井川氏は'64年・東京都生まれ。祖父は大王製紙創業者の故・伊勢吉氏、父は同社の元社長で現最高顧問の高雄氏(74)である。超名門校として知られる筑波大学附属駒場高校を経て、東京大学法学部に進学。卒業後の'87年、大王製紙に入社。'07年に父の高雄氏以来12年ぶりに創業家出身の社長となり、今年6月には会長職に就いていた。

「社長就任式は約1000人を集めて帝国ホテルで行っています。中曽根康弘元首相や後藤田正純衆院議員、サントリーの佐治信忠社長など政財界の大物に加えて、タレントの神田うのも出席していました。派手好きなボンボン社長という印象を受けましたね」(製紙業界関係者)

 大企業の御曹司として生まれ、最高学府に学んだ井川氏。エリート中のエリートであるが、ギャンブルに加え、女性に対する執着も〝大物級〟であったようだ。

「女好きをまったく隠そうとしないんです。初対面の相手にも、すぐオンナ関係の話を振るので、面食らう人も多いと思いますよ。また、お気に入りの女子ゴルファーがいて、かなりご執心だったようです。自社がスポンサーになっているツアー(エリエール・レディス・オープン)に、明らかに実力不足のその選手を社長推薦で強引にネジ込んだそうですよ」(前出・社会部記者)

 そんな〝放蕩経営者〟は未返済の50億円ものカネをいったい何に遣ったのか。佐光社長によれば、遣い道について井川氏は「今は言えない」と話しているといい、「個人で遣ったと思うが、よく分からない」(佐光社長)としている。

 全国紙経済部記者が語る。

「今回の件は、井川氏が、父親の高雄元社長の持ち株を相続税対策で買い上げようとしていたのではないかと見る説があります。オーナー企業特有の〝ゆるさ〟の中で、巨額の貸し付けがなされてしまったというわけですが、井川氏が借りたカネをどう返済するつもりだったのかという謎が残ります。本人が遣い道を明かさないということは、ギャンブルなど口には出せないことに浪費してしまった可能性も否定できません」

 今後、この不祥事は刑事事件へと発展するのだろうか。税理士の瀧本遵一氏が解説する。

「今回のケースでは、最初に借り入れた23億5000万円については井川氏への貸付金として有価証券報告書に記載されています。これは関連会社の取締役会の議事録にも残っている〝表〟のカネということになります。ところが、それ以降に借り入れた約60億円の中には、取締役会の議決を経ないケースもありました。議事録や稟議書の残っていないカネは裏ガネに他ならず、それを受け取っていたということは特別背任もしくは背任に当たります。また、表のカネにしても、取締役会の手続きを経たカネが使途不明でどこかに消えたということですから、国税庁が動く可能性があります」

〝事件〟発覚後、井川氏は雲隠れしたままである。本人の口から、一刻も早い事態の説明が待たれる。

「フライデー」2011年10月7日号より

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