一転し、東京の政治エリートと歩調を合わせ始めた朝日新聞の「沖縄報道」

日米首脳会談報道を読み解く
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 沖縄報道に関して、全国紙で朝日新聞と毎日新聞は特別の性格を帯びている。それは、朝日新聞が沖縄タイムス、毎日新聞が琉球新報と提携し、人事交流を含め、緊密な関係を有しているからだ。かつて沖縄の本土復帰の世論を形成する上でも、朝日新聞、毎日新聞は大きな役割を果たしたとこれまで見られてきた。

 それだから、両紙は沖縄の論理を全国に伝える上で特別の機能を果たしている。しかし、その状況が変化しつつある。朝日新聞の沖縄に対する視座が、明らかに東京の政治エリート(国会議員、官僚)に、無意識のうちに近づいているからだ。

 筆者が接する沖縄の政治エリート、有識者、マスメディア関係者から「いったい朝日新聞は沖縄についてどう考えているのか」と尋ねられることが多くなった。それに対して筆者は、「朝日新聞は、日本のマスメディアの中で、学校時代の成績がよい偏差値エリートの集団です。それだから、同じ偏差値エリートである外務官僚との同質化現象が進んでいるのだと思います。朝日新聞の記者たちは無意識のうちに外務官僚と同じ視座を持つようになっている。無意識だから矯正がきわめて困難です。普天間問題で『最後は朝日新聞が沖縄の側に立ってくれる』という幻想を捨てる時期に来ています。沖縄の政治家も記者も、東京から自立せざるを得ない状況が日ごとに強まっている。なぜそれを沖縄が余儀なくされているか、外務官僚にも、朝日新聞の記者にもピンとこないのです」と答えている。

 筆者のこの認識が、9月21日(日本時間22日)、ニューヨークで行われた日米首脳会談に関する朝日新聞の報道を読んで決定的に強まった。この首脳会談で、オバマ大統領が野田佳彦首相に対して「結果を求める時期に近づいている」と発言を行ったをめぐり深刻な問題が生じている。この問題を初めに指摘したのは、9月27日付琉球新報の以下の記事だ。

 「普天間移設」大統領発言、疑義が浮上 首をかしげる首相

 【東京】日米首脳会談で米軍普天間飛行場移設問題について、オバマ米大統領が野田佳彦首相に対し「結果を求める時期に近づいている」と発言したとされる件で、発言の事実に疑いが浮上している。野田首相は首脳会談後の記者団との懇談で発言について問われ、首をかしげて「進展を『期待する』という話はあった」と説明した。オバマ大統領の「結果を求める時期」については、米国務省のキャンベル次官補が記者団に説明していた。野田首相の認識と食い違っていることが明らかになった。