田原総一朗×野口修司(ジャーナリスト)第3回「ウィキリークス・アサンジが語った『新しいジャーナリズム』」

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第2回はこちらをご覧ください。

田原: ウィキリークスに情報を提供していたマニング上等兵はそれがばれて、逮捕されてしまいました。

野口: ウィキリークスが一番、信頼されているのは、情報源の秘匿ということなんです。内部告発者が守られることが第一。だから、あれは例外なのです。

田原: 本当は、上等兵を完全にウィキリークスが守るはずだったんでしょ?

野口: そうです。守れました。ところが・・・。

田原: ばれちゃった。

野口: なぜばれたかというと、本人がチャットの相手に、「こんな凄いことをやったんだ。世の中を変えるんだ」って、言ってしまったのです。

田原: 上等兵自身が?

野口: そうなんです。自分で言っちゃったんです。

田原: 誰に対して? 世の中に対して?

野口: いや、ラモというチャット相手にです。ラモはハッカーというか、その世界では有名な人なんです。彼に対して自慢話をしてしまったんです。

田原: 自慢話を?

野口: ええ。

田原: 絶対、しちゃいけないでしょ。だって、あの上等兵は50年以上の禁固でしょう?

野口: はい、そうなります。

田原: じゃあ、一生がアウトじゃないですか。

野口: そうなんです。そこがエルズバーグ事件と違うところなんですよね。

田原: どういうことですか?

野口: ほとんどの米国民が彼を支援しなかったんです。支援デモを取材したんですけど、規模が小さいですね。あと、ウィキリークスが中心になってお金を集めて、弁護士費用とか、実際に5万ドルか10万ドルかな、集めてるんですけどね。

 やはり規模が小さい。ペンタゴン・ぺーペーズのエルズバーグの時はまったく罪にならなかった。あれも本来は有罪になるケースです。でも、有罪にならなかった。しかし、今回ウィキリークスに機密文書を提供したマニング上等兵の場合は、間違いなく50数年の有罪になります。

アサンジの弁明

田原: なんで、彼に対しての支援が起きないんですか?

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野口: やはり、ペンタゴン・ペーパーズと比べて、アメリカ国民が凄いと思わなかったんです。

田原: どこが凄くなかった?

野口: マニング上等兵が出した情報が。

田原: 自慢したのがいけないんですか?

野口: ま、それは逮捕のきっかけなんですけども、彼が提供してウィキリークスが、去年の7月ぐらいを中心に出したアフガンダイアリーという情報が、アメリカ国民にとって、自分たちを良くする、世界を良くする情報であると受け取られなかったのです。

田原: なぜ、受け取られなかった?

野口: まあ、たいした情報が入ってなかったというのもあると思いますが。同時に、こんなことまで機密になってるの? っていうことがわかったんですね。

田原: そうか。でも、こんなことまで機密になってるのかと。そのことがわかれば、余計に情報を出した上等兵は、偉いということになるんじゃないですか?

野口: そうですけど、まあ、やはり内容ですね。どういう情報が出たのかという。ペンタゴン・ペーパーズの時は、ベトナム戦争の実態がわかったわけです。今回、4月に出たウィキリークスの情報は、それほどイラク戦争の実態がわかったとか、そんなことじゃないんです。

田原: なるほど。それで、もうひとつ聞きたい。上等兵が自慢した。で、その相手が、これは危ないと当局に言った。

野口: そうですね。ええ。

田原: で、訴えた。なにが危ないと思ったんですか?

野口: やはり、国家機密が漏れるっていう、普通の感覚ですね。ええ。で、同時にそれが実際、問題になったんですけども、あの文書の中には個人名が入っていたんです。

田原: そこなんですよね。つまり政府に、あるいはアメリカの政府に対して、協力をした。個人名ですね、これが入っていた。下手をするとその個人が殺される可能性もあると。

野口: そういうことです。

田原: それをばらしちゃった。

野口: ええ。それを僕はアサンジのインタビューでぶつけましたよ。そしたら彼は、誰も殺されてないだろうって、開き直ったというか、弁明していました。

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