グーグルのトップ交代は何を意味するのか(1)
おとりを仕掛けられたマイクロソフト

2011年春、グーグルの最高経営責任者に就任するラリー・ページ共同創設者(2009年WCAI会議にて筆者撮影)

 過去、ウェブとサーチ・エンジンは、インターネットの技術革新を牽引してきた。しかし、ヤフーやAOLといった広告系ポータル・サイトが凋落し、インクトミ、インフォシークなど数々の検索ベンチャーも消え去った。競争に勝ち抜き、ネット・ビジネスの頂点に立つグーグルだが、さきごろエリック・シュミット氏がCEO辞任を表明し、今春から共同創業者ラリー・ページ氏がトップに立つ。

 グーグルの急成長を支えてきたシュミットCEOの降板は、驚きを持って迎えられ「グーグルに何かが起ころうとしている」との憶測が飛び交っている。パソコンOSの頂点にいたマイクロソフトが坂を下ったごとく、サーチビジネスの巨人にも陰りが訪れているのか。そうした中、グーグルは同社の検索結果を、マイクロソフトの『Bing』が模倣している---と発表し、大きな話題となった。

マイクロソフトを容赦なく叩くグーグル

 2月上旬に起こったマイクロソフトの検索結果「模倣騒ぎ」は、米国のインターネット・コミュニティーで注目されただけでなく、一般テレビやラジオ・ニュースでも取り上げられた。まず、その経緯を簡単に説明しよう。

 インターネットでなにかを調べるとき、欠かせないのが検索サービスだ。グーグルはリンクされる数が多いほど、そのサイトの重要度が高いという「リンク比重法」を主体にした検索技術を発展させ、高い検索結果を実現した。そして、検索結果とオンライン広告を結びつける検索連動広告でトップに立ち、急成長を続けてきた。

 一方、マイクロソフトは、以前からLive Search、Windows Live Search、MSN Searchなどの検索サービスを提供していたが、それらの技術を統合し2009年6月にBing(ビーイング)の本サービスを開始した。Bingは、グーグルが独占する検索連動広告市場を切り崩す重要な使命を担っている。

 2011年2月1日(米国時間)、そのBingがグーグルを模倣しているとニュースが駆け巡った。発端は、サーチ・エンジン・ランドというニュース・ブログがグーグルの"おとり調査"を報じたことから始まった。同記事によれば、グーグルは2010年5月頃から検索結果が模倣されているとの疑問を持ち、その事実を確かめるため2010年12月に"おとり"を仕掛けた。

 これは「非常に珍しい検索用語を選んで、グーグルのサーチエンジンに偽の検索結果ページを作る」という手の込んだ仕組みだ。普通の検索手段では、グーグルが意図的に作成した検索結果ページにたどり着くことは難しい。しかし、マイクロソフトのBingには、この偽りの検索結果が出現し「模倣は間違いない」とグーグルは判断した。

 この記事に対し、マイクロソフトのBing担当副社長Harry Shum氏は即日、否定のコメントを発表した。その後両社は、メディアやブログなどを通じて互いに激しいやり取りを繰り返した。マイクロソフトは「Bingで千種類以上の様々な情報源や検索要素を使っている。その中にはユーザーからの情報も入っている。たとえグーグルの検索結果と似た内容がBingに表示されたとしても、それはユーザー情報の反映であって、直接グーグルの検索結果をコピーしたものではない」という反論をしている。

 やや言葉が不適切かもしれないが、同社の反論は「Bingの検索結果が似ているのは、グーグルの検索結果をユーザー経由でマイクロソフトが入手したから」ということになる。

 これに対し、グーグルのAmit Singhal氏(フェロー)は同社の公式ブログで"おとり"の仕組みや模倣画面のスクリーンショットを公開し、単なるユーザー情報の反映とは「とうてい考えられない」とマイクロソフトに手厳しい反論をおこなっている。

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