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ベストセラー『働く君に贈る25の言葉』の著者・佐々木常夫インタビュー
若者よ「出世すると、人生はもっと楽しくなる」

新浦安(千葉県)の東レ経営研究所の社長室で。佐々木氏は昨年10月に社長を退任、現在は特別顧問の職にある。肝硬変とうつ病を患う妻を看護しながら自閉症の長男の世話をした生活は、'97 年から7年間続いた〔PHOTO天翔〕(以下同〕

「『出世に興味がない』という若いサラリーマンが増えているのは、"楽しそうな上役"が少ないからです。不景気で苦り切った顔をしている役員の顔を見れば、出世欲もゲンナリするでしょう。でも、それは彼らの"ポーズ"で、取締役会ではみんなニコニコしてますよ(笑)。昇進するごとに報酬が増え、ドンドン自分のやりたい仕事ができるようになる。上に行くほど、人生は豊かになるんです。では、出世するにはどうしたらいいのか。それは頭を絞って、『限られた時間で結果を出す』ことに他なりません。私が同期トップで東レの役員になれたのは、他の人たちが頭を使わないでいてくれたお陰なんですよ(笑)」

 そう豪快に笑うのは「東レ経営研究所」特別顧問・佐々木常夫氏(66)だ。 '69 年に東京大学経済学部を卒業し、「必ずしも入りたい会社ではなかった」という東レに入社。経営企画室、繊維事業企画管理部長などを経て、 '01 年に同期で一番早く取締役に就任。 '03 年、東レ経営研究所の代表取締役の座に就いた二男一女の父である。こう書けば順風満帆なサラリーマン人生だが、その実生活は"壮絶"の一語に尽きる。自閉症の長男と、肝硬変とうつ病を患い43回も入退院を繰り返した妻を看護する生活を長く強いられてきた。

 そんな佐々木氏が自身の仕事術を綴った『働く君に贈る25の言葉』(WAVE出版)が20万部の大ヒットを記録している。大きなハンデを負いながらも、「仕事と家庭の両立」を成し遂げた佐々木氏の、仕事に対する真摯なアドバイスが、読者の心を打っているのだ。

「妻が入院していた頃の私は朝5時半に起きて家族の朝食を作り、慌ただしく子供を学校に送り出して朝8時に出社していました。早起きは苦ではありませんでしたが、家事のために夕方6時には会社を出なければならなかったことが、何よりも辛かった。サラリーマンにとって、一切残業ができないことは、手足を縛られることと同じです。でも、私はどうしても仕事を諦めたくなかった。そこで限られた時間を最大限に有効活用するため、私なりの時短術を編み出したんです。今思えばそれこそが、私の出世を後押しするエンジンになったのだと思います」

 佐々木氏が実践した時短術の中から、即、実行できるものを紹介しよう。