メディア・マスコミ
オバマやビル・ゲイツもブログを寄稿する「ハフィントン・ポスト」を成功に導いた「権力に迎合しない視点」
AOL傘下に入るインターネット新聞の旗手
AOLの最高経営責任者ティム・アームストロング(左)とハフィントン・ポスト共同創業者のアリアナ・ハフィントン〔PHOTO〕gettyimages

 2月10日、インターネットサービス大手AOLによる有力インターネット新聞「ハフィントン・ポスト(ハフポスト)」の買収決定から3日後のことだ。ハフポストのウェブサイト上で、マイクロソフト共同創業者兼会長のビル・ゲイツがブログ記事を投稿した。

 ゲイツは現在、世界最大級の慈善財団「ゲイツ財団」の運営に全力投球している。今回のブログではアフリカの医療問題に焦点を当て、「ワクチンの分野では大きな成果が出ており、1980年から2008年の間でジフテリアの発生件数が93%減になった」などと強調している。

 テレビ報道界の伝説的存在ウォルター・クロンカイト、『裸者と死者』の著者で文学界の巨匠ノーマン・メイラー、アメリカ初の黒人大統領になる直前のバラク・オバマ---。ハフポストにブログ記事を投稿する有力者は枚挙にいとまがない。

 なぜニューヨーク・タイムズなどの伝統的な有力メディアへ寄稿せずに、あえて新興のウェブサイト上で原稿料なしでブログを書くのだろうか。共同創業者兼編集長のアリアナ・ハフィントンの思想・哲学に共鳴するからである。

旧メディアから最高のブロガーを

 ハフポストの創刊は2005年5月9日。創刊日に同紙のブロガー第1号として記事を投稿したのは、ケネディ政権で大統領補佐官を求めたこともある著名歴史家アーサー・シュレジンジャーだ。ハフィントンは、『ハフィントン・ポストの完全ブログガイド』の序文の中で、当時を振り返っている。

〈 ハフポスト創刊に際し、新メディアとともに旧メディアからも最高のブロガーを集めたかった。旧メディアの代表としてアーサー・シュレジンジャーの右に出る人はいない。だから最初にアーサーに声をかけた。

 私は由緒ある「センチュリークラブ」でのランチに招待された。古い文人サロンの牙城の中で、旧エスタブリッシュメント文壇から来た男アーサーと対面することになったのだ。

 妻のアレクサンドラと一緒に現れたアーサーからは「ブログとは何?」「『ブログする』とはどういう意味?」と聞かれた。電子メールを使ったことがなく、ファクスを革命的な通信手段と考えている男を相手に、ブログについて説明することになったわけだ。

 アーサーは直ちに「ブログとは何か」を理解した。同時に、ブロガー第1号になることに同意してくれた。ただし「ブログ記事はファクス送信させてほしい」という条件付きだった。

 実際、アーサーから最初のブログ記事をファクスで受け取った。5月9日だ。この日にハフポストは創刊されたのである。 〉

 以来、ハフィントンの人的ネットワークを通じて多数の有力ブロガーがハフポストへ投稿するようになった。5年余りでブロガー数は数百人から9000人へ急増。昨年12月時点では、重複を除いて実際に何人がウェブサイトを見たのかを示す「ユニークビジター」ベースで、月間訪問者数は2450万人に達し、全米ニュースサイトの上位10以内に食い込んでいる(1位はヤフーニュース)。

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