磯山友幸「経済ニュースの裏側」

産業空洞化は円高だけが理由ではない。東電維持、法人税据え置き、定年延長など「政策の失敗」が本当の原因だ

韓国のインフラコストは日本より劇的に安い

2011年09月28日(水) 磯山 友幸
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 円高が止まらない。対ドル為替レートは76円台で推移。対ユーロでも26日には101円台を付け、10年ぶりの円高水準となった。安住淳財務相も過度な円高には断固たる措置を取ると繰り返し発言、為替介入も辞さない姿勢を取っている。だが、民主党政権が行ったこれまでの為替介入の効果がいずれも短期間で終わっていることもあり、市場では長期的な円高定着は避けられないとの見方が広がっている。

 野田佳彦首相が財務相当時に為替介入を決断したわけだが、周囲の政治家によれば、野田氏は当初は介入に否定的だったという。為替市場の現在の取引規模を考えれば、政府が介入しても効果は限定的だというのが理由だった。つまり、効果がないことは分かっていながら、世の中の声に押されて為替介入を実行しているというわけだ。政府の無策を叱責されないための、いわばアリバイ作りの介入と言える。

 実際、産業界の介入を求める声は強い。日本経団連の米倉弘昌会長は26日の記者会見でも、「企業は追い詰められている。政府と日本銀行は連携して市場介入を含めた断固とした対策をやっていただきたい」と語っている。

 企業が追い詰められているとは、円高が進めば、輸出に依存している製造業の日本国内での立地が難しくなり、海外脱出が増加するということだろう。いわゆる「産業の空洞化」である。

日本より劇的に安い韓国のインフラコスト

 だが、空洞化と言われる製造業の海外移転が進むのは円高だけが原因なのだろうか。ここに興味深い資料がある。ある大手メーカーが調べた日本と韓国のインフラのコスト比較だ。賃金、不動産、光熱費、輸送費、法人税などを比較しているが、いずれも韓国が大幅に安い。

 課長級の人件費は43%、土地代16%、インターネットの基本料金36%、産業用電力料金38%、産業用水道料金2%、産業用ガス料金86%、対米向けコンテナの輸送代金40%、法人税60%という数字が並ぶ。

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