井上久男「ニュースの深層」
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松下政経塾だけが政治家養成所ではない。サラリーマンが働きながら政治家を目指す「日本政策学校」が開校

マーケティングと生活者の視点から政治を考える

2011年09月29日(木) 井上 久男
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 日本政策学校(事務局・東京都渋谷区)(http://j-policy.org/)が今年11月26日に開校する。いわゆる「3バン(地盤、看板、カバン)」がなくても、政策本位で政治家になるためのスキルを習得できる場を提供するのが狙いの学校だ。特に日々の政治活動でソーシャルメディアを活用して政策立案能力や提言能力を磨き、次世代リーダーを養成することに活動の主眼を置く。

金野索一氏

 同学校は、一般財団法人として今年8月に設立。代表理事には、「平成維新の会」政策研究員を経て政策学校「一新塾」を創設した金野索一氏が就いた。金野氏はこれまで株式会社「ビジネスブレークスルー経営大学院大学」の共同創業者を務めたほか、ベンチャーキャピタルの取締役等も歴任してきた。

 金野氏は「ベンチャー的発想で、既存の政治家が押さえ切れていない『マーケット(有権者)』を掴むことができる政治家を養成するのが大きな目標」と語る。このため、同学校の卒業論文は「女性の社会進出・若者の所得倍増」「震災からの復興プラン」「ソーシャルメディアの政治活用」のテーマからひとつ選ぶ。

 理事や運営メンバーには多様な経験をもつ人を選んだ。自民党系「シンクタンク2005・日本」(2011年解散)の元事務局長の鈴木崇弘氏は理事に就任。鈴木氏は日本財団や東京財団などでの経験も豊富で、「官僚任せではなく、ビジネスとして政策立案を競い合う社会の実現」を一貫した哲学に置き活動してきた。『日本に「民主主義」を起業する 自伝的シンクタンク論』(第一書林)などの著書もある。

 さらに、電通のコピーライター出身で現在、クリエイティブ会社サステナ代表のマエキタミヤコ氏やユビキタスネットワーク研究で知られる東京大学先端科学技術研究センター教授の森川博之氏らが理事に就いたほか、ソーシャルメディア運営会社の経営者らもディレークターに選ばれている。

 こうした人選を見ても、同学校は、「マーケットの視点」を大切にした政治家養成学校と言えるだろう。有権者をマーケットと見立てて、真にマーケットが求める政策とは何かをくみ取り、それを実現させていく能力養成の場である。そこに、マーケティングの技法やソーシャルメディア活用術を絡めていくのだ。

無名候補からネットの力で勝ち抜いたオバマが理想

 政治家養成機関としては、「松下政経塾」が有名だが、政経塾の場合、大学を卒業後などに若い人が入塾し、塾生であることがそのまま職業になる。給料をもらいながら政治家を目指すため、政治の世界にのみ関心が行く傾向が生まれる。これに対し、日本政策学校では、サラリーマンや自営業といった職業を持った状態で政治家を目指す。「生活者の立場のままで政治に参加していくことが重要と考えた」と金野氏は説明する。

 金野氏の頭の中には理想モデルとして、最初は無名ながらもソーシャルメディアを活用し、オンラインにて少額単位で個人から多数の政治献金を集めたオバマ米大統領の選挙・政治手法がある。金野氏は「オバマ氏の手法は民主主義のひとつの可能性を示した。ソーシャルメディアは透明性と双方向性が武器であり、政治とは相性がよい技術」と話す。

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