学校・教育
松下政経塾だけが政治家養成所ではない。サラリーマンが働きながら政治家を目指す「日本政策学校」が開校
マーケティングと生活者の視点から政治を考える

 日本政策学校(事務局・東京都渋谷区)(http://j-policy.org/)が今年11月26日に開校する。いわゆる「3バン(地盤、看板、カバン)」がなくても、政策本位で政治家になるためのスキルを習得できる場を提供するのが狙いの学校だ。特に日々の政治活動でソーシャルメディアを活用して政策立案能力や提言能力を磨き、次世代リーダーを養成することに活動の主眼を置く。

金野索一氏

 同学校は、一般財団法人として今年8月に設立。代表理事には、「平成維新の会」政策研究員を経て政策学校「一新塾」を創設した金野索一氏が就いた。金野氏はこれまで株式会社「ビジネスブレークスルー経営大学院大学」の共同創業者を務めたほか、ベンチャーキャピタルの取締役等も歴任してきた。

 金野氏は「ベンチャー的発想で、既存の政治家が押さえ切れていない『マーケット(有権者)』を掴むことができる政治家を養成するのが大きな目標」と語る。このため、同学校の卒業論文は「女性の社会進出・若者の所得倍増」「震災からの復興プラン」「ソーシャルメディアの政治活用」のテーマからひとつ選ぶ。

 理事や運営メンバーには多様な経験をもつ人を選んだ。自民党系「シンクタンク2005・日本」(2011年解散)の元事務局長の鈴木崇弘氏は理事に就任。鈴木氏は日本財団や東京財団などでの経験も豊富で、「官僚任せではなく、ビジネスとして政策立案を競い合う社会の実現」を一貫した哲学に置き活動してきた。『日本に「民主主義」を起業する 自伝的シンクタンク論』(第一書林)などの著書もある。

 さらに、電通のコピーライター出身で現在、クリエイティブ会社サステナ代表のマエキタミヤコ氏やユビキタスネットワーク研究で知られる東京大学先端科学技術研究センター教授の森川博之氏らが理事に就いたほか、ソーシャルメディア運営会社の経営者らもディレークターに選ばれている。

 こうした人選を見ても、同学校は、「マーケットの視点」を大切にした政治家養成学校と言えるだろう。有権者をマーケットと見立てて、真にマーケットが求める政策とは何かをくみ取り、それを実現させていく能力養成の場である。そこに、マーケティングの技法やソーシャルメディア活用術を絡めていくのだ。

無名候補からネットの力で勝ち抜いたオバマが理想

 政治家養成機関としては、「松下政経塾」が有名だが、政経塾の場合、大学を卒業後などに若い人が入塾し、塾生であることがそのまま職業になる。給料をもらいながら政治家を目指すため、政治の世界にのみ関心が行く傾向が生まれる。これに対し、日本政策学校では、サラリーマンや自営業といった職業を持った状態で政治家を目指す。「生活者の立場のままで政治に参加していくことが重要と考えた」と金野氏は説明する。

 金野氏の頭の中には理想モデルとして、最初は無名ながらもソーシャルメディアを活用し、オンラインにて少額単位で個人から多数の政治献金を集めたオバマ米大統領の選挙・政治手法がある。金野氏は「オバマ氏の手法は民主主義のひとつの可能性を示した。ソーシャルメディアは透明性と双方向性が武器であり、政治とは相性がよい技術」と話す。

 受講生に対しては、複数のソーシャルメディアを管理できるオリジナルのソフトウエアを供与し、利用方法を教える。また、「実戦」に役立つことを示すため、現役の国会議員・首長個人のソーシャルメディアサイト運営に、受講生が携わる場を提供し、現役政治家と受講生が共にソーシャルメディア政治活用の先端日本モデルを創りあげて行く。

 ソーシャルメディアの活用以外にも5つの大きな基本方針がある。

・主義主張を超えた議論の場とする
・オリジナルの政治公共マネジメント教育の実践
・地球単位の視野で考えられるようにする
・若者の政治参加の促進させる
・古典や名著を紐解き、普遍的な真理から自分の理念や哲学を形成する

といった内容だ。

 主義主張を超えた議論の場としていくために、アドバイザリー講師陣も党派やイデオロギーを問わない多彩な顔ぶれ。野中広務元官房長官、安倍晋三元首相、野田聖子元郵政相、長妻昭元厚生労働相、蓮舫内閣府特命担当相、橋本大二郎元高知県知事、河村たかし名古屋市長、保坂展人世田谷区長、司法試験対策の伊藤塾の伊藤真塾長、作家の佐野眞一氏、改革派官僚で9月26日に経済産業省を退職したばかりの古賀茂明氏らだ。

 教育内容でユニークなのが、オリジナルの政治公共マネジメントの実践であろう。現実の政治で起こった事例をベースにケースメソッドの手法を活用して勉強する。受講生自身が国会議員と仮定した議員立法、知事や市長と仮定した「首長マネジメント」のそれぞれのケーススタディを学ぶ。ケーススタディだけではなく、議員や首長経験者を実際に講師として招聘する。東日本大震災で被災した自治体復興ケーススタディにも取り組む。

 現在、受講生を募集中で、年齢や学歴、国籍などは不問だが、書類選考を行う場合がある。11月に開講し、来年7月まで平均週1回のペースで35回の講義を行う。開講場所は日本経済大学の渋谷キャンパスなどを活用する。平日の夜間と土曜日に通学制で受講する「本科(定員80名)」と、リアルタイムの動画配信で受講する「オンライン科(定員100名)」がある。受講料は、本科が入学金5万円+受講料15万円、オンラインが受講料12万円。

「ソーシャルメディアが変革させるこれからの日本の政治」と題してとして10月18日の18:00から日本経済大学渋谷キャンパスにて、開学前記念シンポジウムを開く。パネリストには、世耕弘成元首相補佐官(参議院議員)やジャーナリストの上杉隆氏、上場IT企業のIMJ元社長で、現在、広島県広報総括監の樫野孝人氏、日本初のフェイスブックでの自治体ホームページを運営している佐賀県・武雄市長らが参加する。

 金野氏は「様々なキャリアの人が政治家になれるように背中をひと押しする場でもあります」と語る。卒業後も政治活動や出馬のコンサルテーションを行うという。

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