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世の中、上には上がいる〜私が見た「大秀才」たち

やっぱりあの人は頭がよかった
週刊現代 プロフィール
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「東大首席卒業で、司法試験、国家公務員上級試験ともにトップ合格で『三冠王』といわれた角谷正彦さんとは波長が合いました。彼は資料を読むのがものすごく速くて、余計な説明を嫌った。説明よりも図表をつけろ、という人でした」

角谷氏の霞が関での最終ポストは国税庁長官。前出の志賀氏の最終ポストは東京税関長だ。頭が切れすぎると事務次官にはなれないのかもしれない。

脳のリミッターが外れてる

官僚の世界に折り紙付きの秀才はいても、何事かに突出したような天賦の才能の持ち主は馴染まない。そういう人物がいかにもいそうなのは、たとえば将棋界だが、

「いや、将棋の世界は世間で思われているほど才能は関係ないんですよ」

そう語るのは、広島県有数の進学校、修道高校から東京大学に進み、東大在学中にプロデビュー、史上初の東大生棋士として注目された片上大輔六段('81年生まれ)だ。

「たとえばオリンピックに出場するアスリートは20代でピークを迎えますけど、将棋は70歳をすぎても強い人は強い。つまり道のりがすごく長いので、持って生まれた才能はそれほど影響しないんです。

結局、プロ棋士にとっていちばん大切なのは、継続する力だと思います。溢れる才能というよりも、継続力が発揮できたのがたまたま将棋だったというべきでしょうね。そうした継続力が秀才の証しだとしたら、将棋界の人は秀才ぞろいかもしれません」

この秀才と天才の違いとは何だろうか。もう一度、前出の茂木健一郎氏にご登場いただこう。茂木氏は、脳科学者の視点からこう語る。

「世間では『秀才は努力の人で、天才は努力しなくてもできる人』とみられがちですが、僕は違うと思う。『秀才は中途半端な努力しかしない人で、天才は超人的な努力をして、しかもそれを努力と思わない人』だと思います。

思うに、天才の脳はリミッターが外れているんですよ。誰でも潜在的には天才かもしれないけれど、脳機能を100%発揮しないで、70〜80%しか出せない。ところが天才と呼ばれる人たちは、リミッターが外れていて脳回路が暴走してしまう。だから、天才にとって努力は苦にならないんです」

半端な努力では秀才、努力し続けることができる「大秀才」こそが天才ということだろうか。凡人にはとても想像がつかない領域にいる大秀才たち。脳のリミッターが外れた彼らには、世界はどう見えているのだろうか。

「週刊現代」2011年9月24日・10月1日号より

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