ウィルコム再建に影落とす京セラと稲盛最高顧問JAL再建の裏側で

2010年02月09日(火) 町田 徹
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 リーマンショック後の世界経済の回復の遅れが響いて、様々な企業に要請をしたものの、なかなか応じて貰えるところはなかった。現時点で残った有力な再建プラン案は、ウィルコムのライバルのひとつ、ソフトバンクが150億円程度を投入して再建を主導するというものだけ。これに、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズも投融資を行うという。

 だが、1月下旬になって、このプランに企業再生支援機構が加わり、250億円の資金を供給する案が浮上したことを、全国紙各紙が報じたことから、事態は大きく混迷することになった。

私企業のM&Aを公的資金で支援するのはおかしい

 というのは、ソフトバンクと機構が机を並べて、支援を行うのは筋が通らないからである。例えば、報道によると、ソフトバンクは、ウィルコムの新収益源として期待される次世代PHSを別会社化し、その事業展開を主導するとしている。

 この他にも、ウィルコムは、ソフトバンクが1昨年の獲得競争で敗れた2.5ギガヘルツ帯の周波数、場所の確保が困難になっている全国の基地局設置スペースの契約、そして400万人を超すユーザー契約など、魅力的な資産をいくつも保持している。

 したがって、「再建案の実態は、ソフトバンクによる当社の買収といった方が的を射ている」(ウィルコム中堅幹部)との批判が渦巻いているのだ。実際、「事実上の私企業のM&Aを、公的な機関である企業再生支援機構が、公的資金を投入して支援するのはおかしい」(政権幹部)との批判が、民主党政権内でもあり、機構は再考を迫られているという。

 JALのケースでも、よく指摘される問題だが、機構のような国の出先に過ぎない組織が、経営に失敗した私企業を支援することは、市場を歪める行為だ。

 しかも、設立根拠法によると、機構の設立目的は「中小企業の再建の支援」だ。ウィルコムのような大企業の再建支援に乗り出せば、それだけで、JALに続いて、当初の目的を逸脱した行為となってしまうのである。

 取材を進めていくと、問題がソフトバンクだけではないことも明らかになった。この再建劇の中で、ウィルコム内部に早くから、ファミリー企業である京セラの債権を保全したいとの意向が働いており、これが再建劇の混迷に拍車をかけているというのだ。

 京セラは、PHSの端末や基地局をウィルコムに供給してくれる最有力の取引先である。その京セラの債権をカットの対象にすると、今後のウィルコムのビジネス展開が困難になるとのロジックを主張し、その債券の保全を正当化しようとしているという。

 機構が主導したJALの法的整理のケースで、それまで認められなかった一般債権の保全が幅広く容認される前例ができたことから、ウィルコム内部の京セラの債権保全論が勢いを得た面もあるらしい。

 当の京セラは、金融機関側の要求に応える形で、1月28日に発表した2009年10~12月決算で、保有していたウィルコム株の法的整理に備えて200億円の評価損を計上し、株主責任を明確にする姿勢を示している。

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