毎日フォーラム~毎日新聞社

採用広報活動を大学3年時12月にずらす

「学業により専念」と経団連、実効性は?
[就職協定]

2011年02月18日(金) 毎日フォーラム
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 日本経団連は、大学新卒者の就職活動が早期・長期化している問題で、13年春入社予定の学生(現在の大学2年生)から、会社説明会など採用に関する広報活動の開始時期をこれまでより2カ月遅らせて、「3年生(大学院生は修士1年)の12月以降」とする指針を発表した。

 しかし、内定につながる面接や試験などの「選考活動」の開始時期は、現状の「4年生の4月以降」を維持したまま。経団連はこの方針を企業の採用活動の指針である「倫理憲章」に盛り込み会員企業に順守を求めるが、学生を学業に集中させるには踏み込み不足の内容なうえ、倫理憲章には強制力はなく、実効性は不透明だ。

 多くの企業や就職情報会社は毎年10月ごろ、大学3年生向けに就職活動用のホームページを開設し、登録を受け付けて会社説明会を始める。これが採用の「広報活動」と総称され、早期・長期化の流れが強まっていた。経団連の米倉弘昌会長は記者会見で、「就職活動の早期・長期化で学業に支障が出ている問題があった。将来の職業や人生を見据え、さまざま経験を積んで自分を磨いてほしい」と2カ月遅らせる狙いを説明した。

 経団連に検討を促したのは、商社の業界団体である「日本貿易会」。企業の青田買いが進み、大学生が学業半ばにして就職活動に専念せざるをえない現状が新卒採用者の質の低下につながることを強く懸念。「学業に専念する時間を与えるべきだ」として、「広報活動」とともに、「選考活動」を、それぞれ4カ月程度遅らせる採用活動の見直し案を昨年11月、経団連に提案していた。

 産業界だけでなく、政府や大学からも就職活動の早期・長期化是正の要請を受けた経団連は、会員企業の採用担当者らを集めたワーキンググループで、倫理憲章の見直し作業に着手。倫理憲章で4年生になるまで実施しないとしている「選考活動」については「大学4年生の4月以降」を明示し、事実上現状を追認する一方、「広報活動」については、現状より2カ月遅らせることにした。

 学生の業界・企業研究には一定期間が必要であることや、「冬休みをうまく活用してほしい」との理由から、広報活動開始を貿易会が要請する2月以降ではなく、12月以降が最適だと判断した。選考開始時期を従来通りとした点について米倉会長は、「中小企業を含め、業界や企業規模によって採用事情が異なり、多くの企業に開始日を順守させるのは難しい。

 順守できなくて実効性が上がらないのも意味がない」と語り、中小企業を含めた幅広い業種の意向に配慮したとの認識を示した。また、特に理系学生を採用する素材メーカーなどから「理系は4年生夏以降に研究で多忙になり、採用を遅らせると逆に学業に支障を来す」との反対意見が上がっていたという。

 経団連は、事実上大学3年の6月ごろから始まるインターンシップ(就業体験)についても、採用選考活動とは切り離すことも検討する。

 経団連の新指針については、経済界などからはさまざまな反応が聞かれる。議論の口火を切った日本貿易会の槍田松瑩会長(三井物産会長)は、同会案との隔たりは大きいものの「大変な反響をいただいた」と議論の広がりを歓迎。

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