情報公開怠り東電擁護が目立つ「第3者委員会」ーー発電分離を素通りなら「電力料金値上げ」への道
〔PHOTO〕gettyimages

 東京電力は、福島原発事故の賠償金支払いのための政府支援や、値上げによる国民への負担転嫁に値する経営努力を果たしたと言えるのだろうか---。

「(東電の)厳正な資産評価と徹底した経費の見直し」という重要な使命を帯びて、菅直人前政権時代に首相のお膝元の内閣官房に設置された政府の第3者委員会「東京電力に関する経営・財務調査委員会」(委員長・下河辺和彦弁護士)がいよいよ今週、その判定を降す注目の報告書の取りまとめ期限を迎える。

発言者の名前も明かさない議事録

 しかし、これまでの検討過程を取材する限り、下川辺委員長の記者会見での勇ましい発言とは対照的に、同委員会が担うべき役割をきちんと果たしていると考えるのは難しい状況だ。

 というのは、同委員会は、東電との歴史的な癒着が再三取り沙汰されてきた経済産業省が実質的な事務局機能を担っており、まるで20年前に官僚たちが隠れ蓑として利用していた審議会を彷彿させるような運営が罷り通っているからだ。

 同委員会は、過去8回にわたる会合の議事録の公開を怠たり、東電寄りの発言を繰り返す委員の氏名を伏せている。加えて、25日夜になっても、20日の会合で東電が提出した資料を公開せず、国民による審議過程の監視やデータの検証を難しくしている問題も見逃せない。

 こんな委員会がお墨付きを与えて、東電がまんまと公的支援や値上げに向けて外堀を埋めるのだとすれば、馬鹿を見るのは我々国民だけだろう。

 問題の調査委員会は、菅前政権が5月24日の閣議で設置したものだ。成立後も問題だらけとの批判が絶えない「原子力損害賠償支援法案」の国会提出へ向けた地均し役とする狙いがあった。

 その閣議決定の文書には、「国民負担の極小化を図ることを基本として東京電力に支援を行う」ため、「東京電力の厳正な資産評価と徹底した経費の見直し」を行う必要がある、と尤もらしい文言が並んでいる。

 メンバーには、委員長の下河辺和彦氏のほか、大和総研執行役員の引頭麻実氏、JR東海(東海旅客鉄道)の葛西敬之会長、東京大学社会科学研究所教授の松村敏弘氏、 DOWAホールディングスの吉川廣和会長の4人が名を連ねている。

 新聞報道によると、委員長の下川辺氏はこれまで、「感想としては、(東電のコストカットは)まだまだ緩い」(今月20日の第8回会合後の記者会見)、「国民負担の極小化という観点から、安易にもろもろの費用が利用者負担となることは絶対に避ける」(同6日の第6回会合後の記者会見)といった勇ましい発言を繰り返し、国民の負担を抑えるため、東電にもう一段の徹底したリストラを求める姿勢を表明にしたことになっている。

 しかし、そうした発言は掛け声倒れの印象を拭えない。そもそも、当時の記者会見での発言を検証してみると、「(原発の運転停止が)長期化すれば、生半可な経営努力では追いつかない」といった東電に同情的な発言がすでに少なくなかったという。

 加えて、国民の期待を大きく裏切ったのが、ガラス張りの委員会審議に欠かせない会議そのもののインターネット中継や議事録の迅速な公開を怠ったことだ。

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