政局
鉢呂前経産相に続くのは誰かーー野田首相の時限爆弾となる「二人のミスキャスト」
張り切りすぎが墓穴を掘らねばいいが  【PHOTO】Sankei via Getty Images

 発足後、間もなく1カ月を迎える野田政権の強弱について判断がつきかねている。首相・野田佳彦は、民主党政権下の首相・鳩山由紀夫や菅直人が打ち上げ花火のごとく人目を引くことを唱えていたのに対し、安定感があり「落ち着いた政治」を期待できそうだ。

 だが、人事配置面ではどうか? 前経済産業相・鉢呂吉雄が失言で早々に辞任に追い込まれたのに加え、「党高政低」の体制下、肝心の党側でとても「適材適所」とは言えないほころびが目立ち始めている。

鳩山首相を辞任に追い込んだ官房長官の失態

 まず、国対委員長の平野博文だ。平野は9月13日に召集された臨時国会で、会期を4日間で閉じようとし、野党、とくに公明党の強い反発を招いた。会期は結局、今月30日まで14日間延長された。これは野田や幹事長・輿石東、前幹事長・岡田克也らが動いた結果で、国対委員長代理の松本剛明、加藤公一、国対副委員長・松野頼久が辞表を提出する騒動に発展した。

 この責任は平野にある。平野は、民主党の強硬な国会対策について公明党国対委員長・漆原良夫が「それは野田総理の意向か」と確認を求めたのに対し、「総理のご意向です」と答えた。しかし、しばらくして、野田の意向ではないことが判明した。

 また、平野は漆原が予算委員会の閉会中審査という落としどころを提示したにもかかわらず、それを当初拒否した。混乱がきわまった段階で受け入れる方向に転換したが、その段階で公明党は自民党、みんなの党など野党各党と会期延長を求める共同戦線に舵を切っていた。

 平野は国対経験が長いことを買われ、かつ鳩山グループへの配慮という野田の思惑もあって起用された。だが、平野の国対経験は野党時代のことだ。

 野党ならば好き勝手なことを言って、後は与党の譲歩を待っていれば良かったが、与党はそうはいかない。与党は野党に対して平身低頭して説得に当たり、野党の要求を一部受け入れながら、政権側の意思を貫徹するという粘り強い作業をしなければならない。

 これは、平野にとって不得手だ。平野は鳩山内閣の官房長官時代、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移転問題で大失敗をやらかしている。

 平野は鹿児島県徳之島への移転を画策。だが、鹿児島県知事・伊藤祐一郎と関係町長は「私たちがせっかく行ったのに、(平野官房長官は)『徳之島の<と>、と言ったこともない』と。そんな不誠実な方に、私は会う気は全くありません」と、不信感を募らせた。結局、地元の反対運動が燃え盛るだけに終わり、普天間移転の5月中決着が図れなかったことが鳩山の6月退陣につながった。

 この時もそうだったが、会期延長をめぐる交渉でも、平野は詰めるべきところを詰めず、かつ正直に話さない。野田にも、輿石にも、民主党国対の松本らにも、公明党の漆原にも正確な話をしていない。

 「ねじれ国会」の下で、国対委員長は政権の命運を左右するぐらいの重みを持つ。その国会対策はささいな人間関係の集積で成り立っている。誠実に対応しないと、すぐに火を噴く。

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